適応障害

適応障害とは、強いストレスが原因で生じるこころの病気です。この記事では、臨床心理士が適応障害の原因や治療法、適応障害と診断されてカウンセリングで治療して改善した具体的な事例も併せて解説していきます。

適応障害とは?

適応障害とは、就職・進学・結婚や離婚などのストレスに適応できずに生じる病気です。

適応障害は、会社や学校、家族や近隣など社会生活に支障が出てきます。

ごく普通に働いていた人が何らかのストレスにさらされて、最初はうまく対処しようとしていてできていたのに、やがてできなくなり、心身ともに支障をきたしてしまうという疾患です。

一般的には、明らかな「ストレス」があり、そのストレスを感じてから3か月以内に発症すると言われます。

こんな症状ありませんか?(チェックリスト)

・仕事や学校に行こうとすると体調が悪くなる

・頭痛やめまいなど身体症状がある

・仕事(学校)に行くと気分が悪くなるが、仕事から離れると回復する

・遅刻や欠勤が増えている

・眠れないことが多い(不眠)

・2~3時間で目が覚める(中途覚醒)

・腹痛が続く

・普段楽しめていたことが楽しめなくなった

適応障害の症状

適応障害は適応障害特有の症状というものはありませんが、症状自体は多岐に渡ります。

主に、精神症状や身体症状、そして行動面に変化が現れると考えられます。

精神症状であれば、抑うつ、不安、焦燥感、絶望感など、身体症状では頭痛や倦怠感や不眠などで、一般的にうつ病の症状のそれに酷似している面もあります。

適応障害は、正常なストレス反応から来る誰にでも起こりうる心身の変化です。きわめてわかりやすくシンプルで特殊な精神疾患ではありませんが、決して軽度のばかりではありません。

放置して長期化すれば、うつ病や神経症といった他の精神疾患を併発や移行することがあります。実際、ある統計では、一旦適応障害と診断されていても5年後には約4割の方がうつ病と診断名を変更されていると言われます。

身体の症状

身体症状は、倦怠感、頭痛、腹痛、不眠など人によって様々な症状が現れます。

心の症状

精神面の症状としては、抑うつ感、不安、焦燥感、過敏、絶望感、意欲や気力の欠如などが現れます。適応障害の症状は非常に多様で特徴的ではなく、うつ病をはじめ他の精神疾患にみられるものばかりです。

適応障害は大きく6つのタイプに分類されます。

抑うつ気分を伴うタイプ

憂うつ感や涙もろさ、絶望感、思考力・集中力・判断力の低下が主な特徴で、感情がコントロールできず泣き叫んだりすることもあります。

不安を伴うタイプ

漠然とした不安感があり、災害や病気などを過剰に心配したり、神経過敏になって社会生活に支障をきたしますが、不安症とまでは診断されない程度です。ただ不安感から時に呼吸困難に陥る人もいます。

不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプ

心配と不安、そして気分の落ち込みが同時に現れるタイプ。

素行の障害を伴うタイプ

万引きや飲酒運転、家族への暴力、無断欠勤など反社会的な素行を伴う場合もあります。

情緒と素行の混合した障害を伴うタイプ

適応障害は大人ではなく、子どもにもありますが、子どもにタイプがこのタイプと言われています。

特定不能のタイプ

肩こり、頭痛や疲労感など身体症状を訴えたり、ひきこもりが主症状であることが多い。

最も多いのは、不安と抑うつ気分の混合を伴うタイプと言われています。

適応障害の要因

適応障害は、明確なストレスが原因で発症します。

日常生活を過ごしていれば、ストレスがなく過ごすことはありません。何かしらのストレスと共に生活しているのです。ですからストレスがあっても、自分なりに解消していたり、自力で乗り越えていったりして過ごしているのですが、時に自分自身で対処できないほどの強いストレスがかかったときに、同様にストレス対処をしようとしても対処できない状態が続くことにより、やがて疲弊してしまい、適応障害の症状を呈するのです。

適応障害の治療について

適応障害の治療は、まず原因であるストレスを突き止めることです。

ストレスの原因が分かり、解決できる(取り除ける)ことであれば対処することが重要ですが、時に解決できないストレスもあると思います。その場合は、受け止め方を変えることで気持ちを楽にしていくのです。そのため、適応障害の治療ではカウンセリングが有効となるのです。

例えば、上司からミスを指摘されたときに、

Aさんは「上司にミスを指摘されているのは、自分が仕事ができないからだ、だから自分へダメ出しされているんだ」と認識するのであれば、心が辛いですが、

「上司はあくまで自分ではなく、自分の仕事に対してダメ出しされている」と認識できれば

気持ちも楽になるのではないでしょうか。

このようにストレスの受け止め方を考えていくことが適応障害の治療にはとても必要です。

但し、精神症状や身体症状が強くある場合は、症状を軽減するために薬物療法を使用することもあります。

回復に向けて心がけること

適応障害の治療は、ストレスの原因をつきとめ、カウンセリングを受けることが効果的であるとお伝えしましたが、それと同じくらい大事なことは、生活療法です。

具体的には、生活リズムを整えることです。1日のスケジュールをだいたいで良いので作り生活をしていきましょう。そして適度な運動もこころの健康を保つためには重要なことです。

1日10分でも良いので家の周りなどを散歩することも良いでしょう。

カウンセリングでの治療効果

適応障害の治療では、物事の感じ方やとらえ方を変えていく認知行動療法や、ストレスに遭遇した時にどう対処していくか考えていく呼吸法やマインドフルネス瞑想などを中心にセッションの中でカウンセラーと対話の中で取り組んでいきます。

認知行動療法とは

適応障害は明確なストレスが原因で生じるこころの病気ですが、

適応障害の回復・治療には認知行動療法が有効だと言われています。

適応障害はストレスを受け止め方やとらえ方に偏りがあることによって、発症する側面もあるため、カウンセリングでは、自分自身の感じ方やとらえ方(これを「認知」いう)を楽な認知にシフトしていくことをすることで、適応障害からの回復を望めますし、また同じような状況に陥った時も対処することが可能となるでしょう。

身体症状や精神相が強ければ、薬物療法と並行しながら、じっくり取り組んでいくことが良いでしょう。あ

当てはまる方は相談してください

・適応障害を克服したい

・ストレス対処法を身に着けたい

・認知行動療法を受けてみたい

上記のようにお考えの方は、一度カウンセリング(心理療法)をおすすめします。

その際は、認知行動療法に対応できる臨床心理士・公認心理師をお選びいただくと良いでしょう。

Heart Life~こころの悩み相談所~では、適応障害の治療のための心理療法をはじめ認知行動療法専門の臨床心理士や公認心理師が多数在籍しています。

当ルームのコンセプトは「もっと身近にカウンセリングを」。できるだけ気軽にカウンセリングを受けていただきたいという思いから、当日でのご予約も積極的に受け付させていただいております。体験も兼ねてカウンセリングを受けてみたいという方ももちろん大歓迎です。

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適応障害と似ている病気

適応障害の症状を呈する方は、その他こころの病気と併発することが多々あります。

・うつ病

軽症のうつ病と適応障害はほとんど見分けがつかないと言われます。近年はうつ症状があればうつ病と診断する傾向があることも否めないが、診断を受けて治療が進んでいる中で一向に改善しない場合は、適応障害な双極性障害など気分障害を併発していると考えられるため、主治医に相談する必要があります。

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)

PTSDとは、生命にかかわる体験など非常に強いストレスや恐怖を体験したことによってそれがトラウマ体験となり、その体験を不意に思い出すなどして日常生活に支障が生じるこころの病気のことですが、適応障害と共通点が多いと言えます。

適応障害との見分け方は、「よく似ていてもうつ病や不安症、PTSDの診断基準を満たすほどではないこと」や「心因反応、第三者がみても明らかな苦悩を引き起こす出来事があり、それに心身が反応した状態」のふたつの点から適応障害の診断をしていくと言われます。

よくある質問

・カウンセリングだけで治療できますか?

適応障害の治療はカウンセリングが中心となりますが、身体症状や精神症状が強い場合は、カウンセリングと並行して薬物療法も必要となります。そのため、心療内科の受診と並行してカウンセリングを受けることが良いでしょう。症状が落ち着いてきて主治医からの判断があった場合は、カウンセリングのみで治療を進めていきます。

・適応障害と診断されましたが、ストレスが思い当たりません

適応障害の場合は、明確なストレス源によって引き起こされています。直近3か月の中で自分がストレスを強く感じたことを振り返ってみると良いでしょう。また適応障害になりやすい人は、ストレスを感じていても感じていない場合もあります。カウンセリングでは何がストレスだったのかということをカウンセラーと探すことが適応障害と第一歩となります。それでもストレスが見当たらない場合は、うつ病や不安症など別の精神疾患の可能性があるため、主治医に相談することをお勧めします。

まずはご相談ください

「適応障害の治療がしたい」

「ストレスが多くて辛い」

「人間関係でストレスを感じやすい」

「ストレスを上手に対処して楽に生きていきたい」

とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

カウンセラーにお話ししていただく中でお話ししていただくことで、今の状況を整理できます。心療内科の通院を迷われている方も、カウンセラーに今の状態をお伝えしたうえで受診をおすすめする場合もございます。

当カウンセリングルームでは、「気軽に」カウンセリングを受けられることをコンセプトにした対面を重視したカウンセリングルームです。ご予約はweb予約フォームよりご予約頂けます。

当相談室での改善例

【適応障害と診断された女性のケース】

30代女性

【ご相談内容】
・抑うつ状態やイライラ感が止まらないので改善したい

【治療経過】

仕事上での人間関係のストレスから抑うつ状態やイライラ感が生じるようになり来室。

役職もつき、ますます人間関係で悩むことが増え、休みの日も精神的に休むことができず、症状は悪化。心療内科受診をすることを促し、受診され休職することとなる。

しっかり休めるようになってから、自分自身を客観視することができるようになった。

ストレス対処については、自分の好きなことを時間を見つけて取り組んだりすることができるようになり、少しずつ回復に向けて取り組んでいる。

【治療方法】

認知行動療法・来談者中心療法

【治療結果】

来室時は、自分自身が適応障害だと認めたくない部分が強くあったようだが、時間をかけて信頼関係を作りつつ最終的に受診につながり、自己理解を深めていった。

自分のことを深く知ることにより、客観視をすることができるようになり、少しずつだが楽に過ごせるようになってきている。

引用参考文献

貝谷久宣「新版・適応障害のことがよくわかる本」

森下克也「もしかして、適応障害?会社で“壊れそう”と思ったら」

こころの耳「適応障害」

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