セルフでできる!認知行動療法とは何か?具体的に解説

今回は自分でできる!認知行動療法の基礎知識について解説します。

認知行動療法をひとりでやってみたいけれど、よくわからないとお感じの方は是非最後までお読みください。

認知行動療法とは何か?

認知行動療法とは、元々カウンセリングの手法のひとつで一言でいえば、自分自身の考え方を変えることで自分の気持ちを変える方法です。

カウンセリングのお仕事をさせて頂いていると日々様々なお悩み事をクライアント様から聞かせて頂きます。

「自分のことが嫌い」

「すぐに落ち込んでしまう」

「不安になりやすい」

「人が怖い・人と会うと緊張する」

「人付き合いが苦手」

「人の目が気になってしまう」

他にも様々なお悩みを聴かせて頂くんですけれど、

結論から言えば、自分自身のお悩みって自分の考え方の問題なんですね。

自分の考え方を変えることによって、感じ方も変わるわけです。

人って、様々なフィルターを通して外の出来事を見ているんですね。

例えば、自転車に乗ってて人とぶつかっちゃった、ことがあったとしてとてもポジティヴな人だったら、「ぶつかったけど人にけがさせてなくてよかった」と思ったりするわけです。

しかし、ネガティヴな人であれば、「ぶつかった相手は自分のことを恨んでるんじゃないか」とか、これは極端ですけれどもそう感じたりするわけですね。人によってひとつの出来事とっても捉え方は全然違うんです。

捉え方が変われば、楽に過ごせることもあります。

考え方が極端にネガティヴだと精神的にもしんどいし辛いと思います。なので、認知行動療法は、自分の考え方や捉え方を少しずつ変えていきましょうね、というそのためのツールなのです。

自分の考え方や捉え方を変えるためには自分の捉え方の傾向を把握することが大事になってきます。

例えば、「すぐに落ち込んでしまう」ことがお悩みの方がいらっしゃったとして、どんな時に、落ち込んでしまうのか、具体的に思い出してどんな場面でどんな反応や行動をしてしまうのか、見ていくんですね。

まずは自分のことを知ることから始めないといけません。カウンセリングの重要なことは「気づき」ですから、まずは自分に「気づいて」もらうわけですね。

悩まれている方の多くが、「気分が落ち込むのを何とかしたい」とカウンセリングに来室されても8割くらいの方は具体的にどのような場面でどのような反応をして行動をしているかちゃんと自分を把握していない方が多いのです。

カウンセリングでお話をさせている中で気づかれる方も非常に多かったりします。

認知行動療法のやり方①アジェンダ設定

では、認知行動療法のやり方についてですが、認知行動療法では、まず「アジェンダ設定」と言って今困っていることは何かということと、これからの目標についてしっかりと具体的に確認します。

自分自身が、何のテーマについて話し合うのか、何についてどんな風に困っていて、目標は何なのか、どんな自分になれたらいいのか、ということを明確に知ること、共有することが大事なのです。

例えば、「すぐに落ち込んだり、不安になることを止めたい」というクライアントAさんがいらっしゃったとして、これだけじゃ正直漠然としていますので、具体的にしていきます。

例えば、「仕事で上司から強く言われているわけじゃないのに、ミスを指摘されると落ち込んでしまい、『仕事クビになるかもしれない』と不安になることが強いのを無くすことはできないかもしれないけれど、そのように感じてしまう感覚を少なくしたい」ということですね。ここまで具体的に言葉にしてみることが大事です。

認知行動療法のやり方②セルフモニタリング

アジェンダ設定ができましたら、次は自分の感情についてモニタリングすることですね。自分の感情をモニタリングする、つまり客観的に見ていくというわけです。これをセルフモニタリングと言ったりします。

認知行動療法では、自分の感情を無くすことではなくて、感情をコントロールすることです。自分自身、感じてしまう感情を少しコントロールできるようにしましょうね、ということ。

例えば、先程のAさんの話になりますが、Aさんは具体的にどのような感情になっているのか、について具体的にみていくわけです。この時に、「出来事」と「感情」と分けて書いてみてください。

例えば、Aさんの場合はこうなりました。出来事としては、「仕事で自分が作った書類のミスを指摘された」、そして感情としては「悲しい」「落ち込む」「辛い」「怒り」だったということですね。

じゃあ今、出てきた感情ですね、「悲しい」とか「落ち込む」とか「辛い」とか「怒り」について、どれくらい強い感情だったかを数値化していきます。

これをスケーリングと言ったりしますが、スケーリングしてみましょう。

例えば、100が一番感情が強く、0が感情が小さいというスケールを仮定して書いてみるといいですね。このスケーリングはあくまでも主観的な感覚で大丈夫です。

なぜスケーリングしないといけないかというと、これもセルフモニタリングするために必要なわけなんですね。

認知行動療法のやり方③自動思考に気づく

先程の例では、「出来事」と「感情」を書いてもらいました。出来事については、、「仕事で自分が作った書類のミスを指摘された」、そして感情としては「悲しい」「落ち込む」「辛い」「怒り」だったということですね。

この感情、いくつか生じていますが、これはいきなり感情が生まれるわけではありません。

どういうことかというと、感情が生まれる前に、何か考えているんですね。

その考えがあるから感情が生まれるわけです。

どういうことかと言いますと、例えば、「悲しい」という気持ちはなぜ生じたのでしょうか。

それは、「上司に対して尊敬していたが、尊敬している上司から指摘されて、自分はダメな人間なんだな」と考えていたとしたら「悲しい」気持ちになるかもしれません。「怒り」であればなぜ生じたのでしょうか。

それは「上司だっていつもミスが多いくせになんで指摘されなきゃいけないんだ」と思ったから「怒り」の感情が生まれたのかもしれません。このように感情が生じる前にこのような「思考」が生まれているはずなのです。

この思考については、自動思考と言われたりします。

これは自動的に思考が浮かぶからという意味で自動思考なんですね。要するに自動思考というのは、パッと頭に浮かんだイメージというものと考えてもらうと良いと思います。

例えば、嫌いな同僚から「この仕事やっておいてよ」と言われたら、どう思いますか。

その思ったことが、自動思考です。そして次に感情が生まれます。

自動思考が「なんでやらなきゃいけないんだよ」という感覚であれば「イライラ」のような怒りの感情になるかもしれません。認知行動療法では、この自動思考に着目します。

認知行動療法のやり方④スキーマに気づく

自動思考はどこからやってきたのでしょうか。これは無意識のうちに出てくるものなんですね。

なぜそのような自動思考が出てきたのかを具体的に探っていきます。

例えば、Aさんの話に戻りますが、Aさんは上司にミスを指摘されたことで、落ち込んでしまいます。これはなぜか。

Aさんの自動思考を見てみると「また上司から指摘された、俺はダメな人間なんだ」という自動思考だったようです。

なぜ「ダメな人間」と思うのでしょうか。これは、Aさんの今まで生きてきた価値観に由来するものです。

その人の価値観や人生観や信念のことを「スキーマ」と言います。

知らず知らずのうちに小さい頃から親や環境から受け付けられてきた価値観によってミスをしたら「ダメな人間」というスキーマを昔から持っていたという事なんですね。

自分のスキーマを知るためには自分が今までどう人生を過ごしてきたかということを詳しく聞く必要があり、思い出す必要があるんですね。

カウンセリングでは、よく過去の話をカウンセラーが聞くことが圧倒的に多いと思いますがこれはそのクライアント様にどのようなスキーマがあるのだろうかということを見立てるために聞いていたりするのです。

繰り返し取り組むことが大事

以上が、認知行動療法の基礎知識と基礎のやり方について解説いたしました。

このような作業を地道に続けることによってだんだんと自分自身の考え方の傾向、クセが見えてきます。

見えてきたら対処方法を考えていけるわけですね。

認知行動療法は、しっかりと学べばひとりでできますが、最初はカウンセラーと共にやっていく方が良いでしょう。

カウンセラーと一緒に取り組む中で、自然と身に着け、次第にカウンセラーがいなくても自分で認知行動療法ができるようになると思います。

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