私の親は毒親?こんな毒親から逃げたい、わたしは毒親?など、親子の関係でお悩みの方は、ひとりで悩まないでカウンセリングを受けることをおすすめします。
親子関係は、近しいだけに過剰な対応をしてしまったり、悪化して暴言や暴力に発展してしまうリスクもあります。
何らかの事情や理由があって毒親と子どもの関係ができてしまうため、その原因を解明するためにも臨床心理士への相談を始めましょう。
本記事では、毒親に育てられた子どもの特徴やカウンセリングで毒親の悩みを解消する方法等を解説します。
毒親とは?
毒親とは、アメリカのセラピスト・インストラクター、スーザン・フォワードが提唱した概念です。子どもの人生を支配し、子どもに害悪を及ぼす親のことを示します。
一方、毒親ではない親は、子どもを別の人格として認めて愛情を注いで育てることができて、子どもとの距離感がわかる人です。親子がお互いに子離れと親離れができていて、しかも親はいつでも子供が帰ってくることができるような安心の場を与えることが大切です。
毒親に育てられた子どもは自己肯定感が低く自分を大切にできない性格で、感情をコントロールできない傾向が強くなります。
また、精神疾患を伴うケースもあり、うつ病や複雑性PTSDなどの症状が現れることもあります。
毒親のタイプ
毒親の特徴を知るためには、以下の5つのタイプ別に確認しましょう。
- 過干渉型
- 暴力型
- ネグレクト型
- 過保護型
- 支配型
タイプ①過干渉型
子どもの行動や意見に常に干渉してくるタイプの毒親です。子どもの幼少期は親が干渉することが子どもを守ることに繋がっていますが、成人になっても同じような子育てモードが続いているのは、過干渉タイプの毒親の特徴です。
親としては心配しているだけ、ちょっと過保護くらいにしか認識していない人が大半で、
酷い人では、子どもの職場まで入り込んだり、交際相手や友達との交流にもいちいち口を出す親もいます。
タイプ②暴力型
暴力によって子どもを管理しようとする毒親です。肉体的または精神的暴力によって虐待をすることで、子どもの人格に影響を及ぼすことになります。
子どもが何も悪いことをしていなくても、親の意見に合わないと暴力を使って子どもを過剰に𠮟りつけたり、言葉の暴力で子どもを傷つけたりする行為が現れます。
まだ未熟な子どもにとっては、親が怒っているのは自分が悪いからだと決めつけてしまい、自分の本来の感情や意見を封じ込めてしまうことになります。
タイプ③ネグレクト型
過干渉タイプとは真逆で、子どもを放置したままで無関心な毒親です。子どもが親の愛情を確かめようと努力をしても、ネグレクトタイプの毒親は全く反応をしないため、子どもは愛されていないと感じるようになってしまいます。
愛されていることを実感できずに育つと、自己肯定感が低く、ネガティブ思考で行動力に乏しく、承認欲求が強い性格になる傾向です。
タイプ④過保護型
子どもが自主的にできることをすべて先に立ってやってしまう毒親です。子どもは成長とともに何でも自分でできるように育てて行くことが必要ですが、過保護タイプの毒親は、日常的なことから子どもの将来についても口出しすることが多くなります。
親が自ら退いて手助けを辞めないかぎり、子どもは年齢を重ねるだけで成長は閉ざされたままになってしまいます。
タイプ⑤支配型
子どもの身なりから進路や趣味、交際相手や結婚相手まですべて強制する毒親です。
子どもは選択の自由がなく、親の決めたレールで成長するため、親がいなければ自己主張もできず、自ら判断して選ぶことができない人になってしまいます。
生まれた時から支配型の毒親に育てられているので、親の言うことがすべて正しいとマインドコントロールされており、子どもは自分の人生を歩むことができなくなってしまいます。
毒親に育てられた子どもはどうなるのか
毒親に育てられた子どもの主な特徴について解説します。
子どもは、学校や社会に出ていく前に親子関係から人間どうしのコミュニケーションを学び、感情のコントロールができるようになりますが、毒親から一方的に育てられた子どもは、周囲との関係性が分からず、感情の伝え方などが未熟なまま大きくなっています。
周囲の目ばかり気にする
毒親の意見に左右されて生きてきたので、自分の意見を主張したり自ら行動することに劣っていて、周囲の目ばかり気にする特徴があります。
自分の主張が否定されてきたので、好き嫌いや良い悪いなどの判断ができず、他人の意見の方が優先されるという思考が働いて自分が前に出ることができなくなっています。
誰かに依存する
自分を信じることができないため、誰かに依存した生き方になりがちです。暴力や過干渉、支配や管理の下で育てられてきたので、子どもは自立した行動ができず、毒親または誰かがいないと何もできない人になっています。
消極的になる
自分の欲求を封じ込めて生きてきたので、積極的な意見や行動ができなくなっています。
何をするにも他人からの指示がないと動くことができず、自ら決めるということに恐れや不安を過剰に感じる性格になっています。
マイナス思考になる
自分が感じたまま行動することができなかったために、前向き思考が抑制されてマイナス思考になる傾向です。子どもは失敗を繰り返して成功するチャンスをつかむことを学びますが、毒親がすべて先走って口出ししたり暴力で押さえてしまうので、ネガティブな考え方になってしまいます。
毒親の相談をしたいときはどうする?
毒親からの被害は、長期的になればなるほど精神的、肉体的ダメージが大きくなります。
できるだけ早く誰かに相談する方法を見つけましょう。
ここでは、カウンセラー、警察、役所に相談することやネット掲示板で話し相手を見つけるなど、相談できる人や場所を紹介していきます。
カウンセリングを受ける
毒親から離れてくらしていても、いつも過去のトラウマから離れられずに悩んでいる場合は、専門のカウンセラーに早めに相談しましょう。
また、現在毒親の被害で心の状態が不安定である人も、カウンセラーに相談することで、
精神疾患が悪化する前に改善できる方向性を見つけていきましょう。
警察や役所に相談する
親からの虐待や放置されている場合は、居住地域の役所に相談しましょう。もし、親の過剰な行動や暴言などから身の危険を感じたら、親であっても警察に通報することをおすすめします。警察に行く場合は、今までの暴力行為について記録しておくと被害の証拠になります。また、交番で話を聞いてもらえない場合は、警察署にいって事情を詳しく伝えるようにしましょう。
ネット掲示板を活用する
ネット掲示板には毒親の子供の体験談が多く寄せられているため、自分の親が毒親であるかどうか判断することができます。
また、自分の気持ちを素直に訴えたい場合も、ネット掲示板であれば気軽に素直な気持ちを書くこともできるでしょう。同じ境遇の子供たちと気持ちを共有することもできます。
毒親をもつ子どもの自己肯定感の高め方
毒親を持つ子供で心の状態が安定していない人、または自覚が無くても親が毒親なのではと不安に感じている人は、カウンセリングを受けて自己肯定感を高める対策をしていきましょう。
未成年の人はまだ親と同居して暮らしていかなければならないため、毒親からの影響を受けやすい状態です。自らカウンセリングルームを見つけて訪れることは難しいかもしれませんが、毒親から逃げたいと思っている人は、学校の先生や近隣の知り合い、友達、誰でも良いのでカウンセリングを受けたいことを伝えてカウンセラーに繋げてもらえるように相談しましょう。
毒親に育てられた子どもは自己肯定感が低下しているため、自分だけでは改善することは難しくなります。適切なカウンセリングを受けることをおすすめします。
カウンセリングで毒親に悩みを相談するときのポイント
カウンセリングで毒親の悩みを相談する際は、自分の本来の姿や素直な気持ちをカウンセラーにすべてうちあけられるようにしましょう。
ここでは、毒親の悩みを相談する際のポイントを紹介します。
ポイント①毒親に育てられたことを認める
毒親に育てられた人の特徴として、人間関係が苦手で警戒心が大きいことがあります。したがって、カウンセラーに相談する際に、はじめは親が毒親であることを認めたくなかったり、複雑な気持ちで上手く伝えることができないケースもあります。
また、相手の言葉に敏感で、傷つくのを警戒して防衛機制が強まることもありえます。子どもの頃に体験した親からの圧力がトラウマとなって心の病として残ってしまっていることもあります。
カウンセリングを受ける際は、カウンセラーの言葉に耳を傾けて、自分の親が毒親であることを認められるように、少しずつ心を開いて相談できるようにしていきましょう。
ポイント②ストレスを抱えていることに気がつく
毒親であっても親であることには変わりなく、生まれた頃からの習慣で、ストレスがかかっているのに自覚症状がないケースもあります。
親の影響で無意識に起こっている思考パターンに気づいて、毒親からの虐待で心の病に陥っていることに早く気づくことが大事です。
ストレスが溜まっていることに無自覚な状態が続くと、身体の不調へと繋がっていくため、健康被害にまで及んでしまいます。
ストレスを抱えていることに気づくように自分自身を見つめることを始めましょう。
ポイント③自分がどうなりたいのかを描く
親からの押し付けではなく自分が本当はどうなりたいか感じることができるようにしましょう。毒親の存在を認めて、親と自分は別の人格として考え、自分が素直に喜んだり悲しんだり笑ったりできるようなイメージを捉えていくことが大切です。
もし、本来の気持ちに気づいたら、親に対しての感情をカウンセラーに素直に話して、心の状態を整理してもらうようにしていきましょう。
ポイント④親との関係を整理する
毒親も、好きで毒親になった人はほとんどおらず、子育てを一生懸命しているつもりがいつしか毒親と呼ばれる人になってしまったという事情があります。
毒親が毒親であることを自覚していて直したいと感じている場合は、親子の関係性を整理することで改善される部分もあります。
子どもは親に期待できることとできないこと、頼みたいことは素直に伝えること、ありがとうの感謝を忘れないことなど、子どもは親との関わり合い方をもう一度見直すことが必要です。
ポイント⑤自分らしい生き方を模索する
もう一度、生き方を変えてみることは何歳からでもできることです。毒親との関係性から正常な親子関係に変えることができたら、自分の生き方を模索することを始めましょう。
毒親に育てられた子どもは、経験がすべて親のコントロール下にあったため未熟なまま成長してしまっています。毒親から解放されたら、いろんな経験を経て自分を作り上げていくことに集中していきましょう。
毒親にもカウンセリングを受けさせてもよい?
自分が毒親であることを自覚し更生したいと考えた場合は、カウンセリングを受けることをおすすめします。毒親をやめたくてもやめられないという方もいらっしゃいます。
自分で言動や行動がコントロールできない方は、カウンセラーに話して、子どもとの距離感の取り方や悪い行動や暴言の背景となる心の動きについて、どうしてそうなってしまうのか自分で分析して改善できるようにカウンセラーに指導してもらうようにしていきましょう。
親子の関係を改善するためにできること
親子関係がギクシャクする原因は、親の子どもに対する過剰な心配、子どもは親の心配がうざくなる気持ちから、コミュニケーションが悪くなるからです。
また、親子がお互いに期待し過ぎることで、現実のギャップから不満がでることもあります。さらに、親子なので遠慮なく気持ちをぶつけてしまうことも多く、言い合いになってしまいがちです。
親子関係は身近な存在であるだけに、親のエゴを押し付けてしまったり、子どもは親に頼りすぎたりします。理想的なのは、素直な気持ちをお互いに持って適度に干渉し合える関係性を作ることが大事です。
また、本人どうしでは解決できない場合は、カウンセラーなど第三者を介して相談することで親子の関係性を改善できることもあります。
毒親でお困りの方はこころの悩み相談所へ
毒親の問題は、自分だけでは抱えないでカウンセラーに相談して親からの自立を目指しましょう。また、自分が毒親でなおしたいと感じている方はお気軽にご相談ください。
ハートライフ心の悩み相談所では、心の専門家である臨床心理士・公認心理師が、あなたの心の状態をお聞きして、気持ちが楽になるようにサポートさせて頂くことができます。
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この記事の監修者
横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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