大人の発達障害とは?種類や診断の流れ、注意点を解説

10年ほど前から”大人の発達障害”という言葉を聞くようになりましたが、実際どのような症状なのかよく知らないという方も多いのではないでしょうか。

しかし、大人の発達障害は自覚症状がない場合も多いため、少しでも日常生活において困りごとがあるのであれば、一度大人の発達障害を疑ってみることがオススメです。

そこで本記事では、大人の発達障害について種類や診断の流れ、診断を受ける注意点などについて詳しく解説していきます。

大人の発達障害とは?

大人の発達障害とは、先天的な脳の発達により幼児から大人になるまで継続的に人間関係や社会生活などに悪影響を及ぼしてしまう障害のことを指します。

大人の発達障害は”本人が努力を怠っているから”や”親の育て方が悪いから”など好天的な影響は関係なく子供のころから症状が見られることも多いですが、大人になってから発達障害に気付くという方も多いのです。

最近では、「スケジュール管理ができないない」「コミュニケーションが苦手」「物忘れが激しい」などの理由から、自分自身が大人の発達障害でないかと疑う方も多くなっています。

つまり、大人の発達障害は”大人になってから発達障害になる”のではなく、先天的な脳の発達により起こる障害ですが、継続的に大人になってからも発達障害の影響を受けたり、大人になってから発達障害に気付くという方も増えているのです。

大人の発達障害の種類

大人の発達障害の主な種類は下記の3つです。

・ASD(自閉スペクトラム症)

・ADHD(注意欠如・多動症)

・LD(学習障害)

それぞれの種類について詳しく解説していきます。

大人の発達障害①:ASD(自閉スペクトラム症)

ASD(自閉スペクトラム症)とは、人間関係が苦手という特徴や物事に対して強いこだわりを持っているという特徴のある発達障害です。

1歳半ごろから診断される発達障害となっており、女性に比べて男性のほうが2倍〜4倍ほど多いと言われています。

ASDが疑われる例としては、「まったく空気を読むことができない」「冗談を理解できない」などの対人面での特徴や、「生活パターンへの強いこだわり」「興味関心への偏りが激しい」などの物事に対してのこだわりなどが挙げられます。

中でもコミュニケーションについては問題になることが多く、社会人になってからASDなのではないかと考える大人も増えているのです。

大人の発達障害②:ADHD(注意欠如・多動症)

ADHD(注意欠如・多動症)とは、下記の症状などが日常生活で起こる発達障害のことを指します。

・注意を持続させることが困難

・順序立てて行動することが苦手

・落ち着きがない

・行動の抑制が困難

ADHDを発症している大人は自己肯定感が低かったり、日常生活において困難に直面する場面も多いため、うつ病・双極性障害・不安症などの精神疾患や、ASD・チック症などの発達障害を伴っていることもあります。

大人の発達障害③:LD(学習障害)

LD(学習障害)とは、知的発達に関しては障害はないものの、聞く・話す・読む・書く・計算する・推論するなどの能力に困難が生じる発達障害です。また、LDは症状によって読字障害(ディスレクシア)・書字障害(ディスグラフィア)・算数障害(ディスカリキュリア)の3つに分類されます。

大人の発達障害を診断する方法・流れ

仕事上や日常生活において困りごとが多発し、「もしかしたら発達障害かも」と感じた場合、精神科もしくは心療内科に診断を受けることがオススメです。精神科もしくは心療内科では、下記のような流れで診断を進められます。

・問診

・検査

・診断

それぞれの流れについて詳しく解説していきます。

大人の発達障害の診断の流れ①:問診

大人の発達障害の診断をするとき、まずは主治医による問診が行われます。問診では、子どものときの様子や家族関係、心身の症状、これまでの仕事の状況や環境・人間関係、服薬や既往歴などについて聞かれることもあります。

大人の発達障害の診断の流れ②:検査

問診によって医師が検査を必要だと判断した場合は、大人の発達障害で内科を確かめるために検査を行います。検査の内容はさまざまですが、脳波を調べるための「CT」「MRI」や、心理検査、血液検査などが主な内容です。

大人の発達障害の診断の流れ③:診断

問診や検査の結果、大人の発達障害の可能性がある場合は、アメリカの精神医学会が発行している『DSM-5』(『精神疾患の診断・統計マニュアル』第5版)に基づいて診断されます。

大人の発達障害と診断されたときの治療法

大人の発達障害と診断されたときの治療法は下記の

・環境調整

・カウンセリング

・ソーシャルスキルトレーニング

・薬物療法

それぞれの治療法について詳しく解説していきます。

1.環境調整

環境調整とは、本人が困っていることに対して環境を変えることで困りごとを減らす方法です。例えば、時間を忘れて没頭してしまうことが多いという場合は、タイマーを使用して時間を分かりやすくするなどの対処をして環境を調整していきます。

2.カウンセリング

大人の発達障害の中でもうつ病や不安症などの精神疾患になりやすい場合は、カウンセリングを受けることも効果的な治療法です。カウンセリングでは、自分自身のことや特性について理解するためにカウンセラーと話を進めていきます。

3.ソーシャルスキルトレーニング

ソーシャルスキルトレーニングとは、対人関係や自立などに対して日常生活内で使うことのできるスキルを身に付けていく方法です。例えば、断ることができない、声の大きさがわからないなど、日常生活で困るようなことに対してスキルを身に付けていく流れになります。

4.薬物療法

大人の発達障害の中で薬物治療が有効であると医師から判断された場合には薬が処方されることもあります。また、大人の発達障害に伴って生じる精神障害に対しても薬物治療が行われることが多いです。

大人の発達障害を診断するときの注意点

大人の発達障害を診断するときの注意点は下記の2つです。

・大人の発達障害を診断できない病院もある

・保険適用外の場合は費用が高額になることもある

それぞれの注意点について詳しく解説していきます。

1.大人の発達障害を診断できない病院もある

”大人の発達障害”が診断対象となったのは10年から20年前のことですので、現在でも大人の発達障害を診断対象として認めていない病院もあります。

そのため、精神科もしくは心療内科に相談する場合は、事前に病院のホームページなどを確認して大人の発達障害を診断してくれるかどうかを確認することが大切です。

2.保険適用外の場合は費用が高額になることもある

病院で大人の発達障害の相談をする場合、保険適用内か適用外のどちらかによって費用が大きく異なってしまうため注意が必要です。

保険診療を行っている病院であっても必要性が認められない場合は保険適用外となってしまうため、事前に知能検査の費用について確認しておくといいでしょう。

まとめ

本記事では、大人の発達障害について種類や診断の流れ、診断を受ける注意点などについて詳しく解説していきました。

発達障害は大人になっても気づかないという場合が多いため、物忘れが激しい・時間が守れないなど、少しでも大人の発達障害なのではないかと思う場合には、一度診断を受けてみるといいでしょう。

ぜひ本記事を参考にして大人の発達障害の診断について理解を深めてみてください。

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