「うつ病」になると人生終わりなのか?臨床心理士が解説

本記事では、うつ病になったら「人生終わり」なのか?について臨床心理士的視点から解説していきたいと思います。是非最後までお読みください。

  

うつ病の実態

うつ病というのは、一般の方でも知っているワードだと思います。

「最近うつっぽい」とか「仕事が嫌でうつになる」など様々な会話の場面でも「うつ」ということばは多用されています。

それだけ「うつ病」というワードが認知されているということだと思うのでとても良いと感じる一方で、本当に「うつ病」について知っているか、と問われるとはっきりと説明できなかったりするのではないでしょうか。「うつ」ということば自体はよく聞くワードになりましたが、一方で「うつ」に対する理解は進んでいないように感じます。

試しに「うつ病」について説明してください、と言われたらあなたはどう答えますか。意外にも答えに詰まることも少なくないと思います。そもそも「うつ(状態)」と「うつ病」の違いは?と思うかもしれません。実は、同じように見えて違います。

うつ(状態)とうつ病とは?

「うつ(状態)」というのは、気分の落ち込みや意欲減退などうつ病の症状を呈している状態のことを指します。よく「抑うつ」と言われたりしますが、うつ病の症状を呈している状態ですが、通常であれば2~3日程度で消失します。

一方で、「うつ病」というのは、「うつ」の状態が2週間以上続いている状態であり、なおかつ診断を受けている方のことを指します。

うつ病の症状は、気分の落ち込みや意欲減退、不眠などの症状が特徴的な症状で、頭痛やめまい、肩こりなど時に身体症状を呈する場合もあります。うつ病の治療は、薬物療法と心理療法と休養の3本柱ですすめていきます。

うつ病になったら人生が終わるのか?

こころが弱いからうつ病になるわけじゃない

人によってはうつ病になったら「人生終わり」と思い込んでいる人も少なくありません。うつ病になる人のイメージは「心が弱い人がなるもの」とか「うつ病になったら負け」とかそのようなネガティヴなイメージがついているもの事実です。でもその認識って間違いなんです。

しかしながら、現代社会だとまだどうしても「心が弱い」というイメージが先行しているのではないのでしょうか。うつ病の有病率、つまり生涯に病気になる確率のことですが、どれくらいだと思いますか。実は15人に1人の割合(場合によっては10人に1人、8人に1人とも言われる)で発症すると言われています。実は、うつ病というのはきっかけなどがあれば誰でもなるものなのですね。

きっかけは人によって様々ですが過度にストレスが重なれば誰にでも起こりうる可能性があります。多くの人は、他人事に思っているのかもしれませんが、決して他人事ではありません。

そしてうつ病に罹患している人の4分の1は適切な処置、すなわち心療内科やカウンセリングを受けるのですが、残りの4分の3の人たちは、適切な処置をしないままで過ごしているのです。詳しくは厚生労働省のHPを見て頂くとわかると思います。

おそらくうつ病になっても放置している人の多くは、「心が弱い」と思われたくないとか、「うつ病になったら人生つむ」と思っている部分もあると思います。でも私が思うのは、むしろ「うつ病になっているのに無視」していることの方が人生つむと思います。

確かにうつ病になることで仕事を休んだりすることになるのでどうしても重要な仕事を受け持たせてもらえなかったりする。そうするとキャリアデザインから少し遠ざかってしまうということはあるのでしょう。

でもうつ病になったら人生が終わることはありません。むしろうつ病のまま無理して我武者羅に働き続けて、或る日突然、心が折れて電車に飛び込む方という選択をする方が人生終わったと思いませんか。

もしあなたが今でも「うつ病になったら人生終わりじゃないか」という思考を持っているのであれば、改めるべきです。なぜならその思考は、あなたを苦しめる結果になるからです。

うつ病を正しく理解しよう

こころの病気に対する誤解というのは、皆さんが「知らない」ことで生じているのです。知らないから「きっとこうなんじゃないか」「ああなんじゃないか」と変な推測をするのですね。わかりやすい例は、新しく転職してきた人が無口な人だと「あの人〇〇なのかな」とか噂話とかしますよね。それと同じなのですね。多くはその噂話って根も葉もないことだったりするのです。

だからこそうつ病に対する正しいは必要でうつ病とは何なのか、ということについて知るべきです。知ったうえでうつ病について議論するべきなのです。それも知らずに話をする、議論をするというのはむしろ恥ずかしいことです。まずは相手を知ることからはじめるのです。

カウンセリングの治療でもまずは「自分を知る」ことが大事といわれています。まずは「知る」ことから始めてみましょう。

   

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