うつ病

この記事では、うつ病とは何か?をはじめ、原因、治療法、うつ病の治療としてカウンセリングはどのくらい効果があるのか、具体的事例も含めて解説していきます。

うつ病について

うつ病とは、ほとんど毎日のように「気分の落ち込み」などの憂うつ感「何をしていても面白くない」などの無気力感思考力の低下が続いている症状が続き、その症状によって日常生活に支障をきたしてしまうこころの病気です。

実は、うつ病は一生涯のうちに10人に1人が罹ると言われるこころの病気で、決して他人ごとではありません。

うつ病の代表的な症状は、気分の落ち込みなどの憂うつ感や無気力感、思考力の低下で表現されますが、症状は多岐にわたり、一見うつ病と思えないような症状が実はうつ病の症状だったりすることもあります。

こんな症状ありませんか?(チェックリスト)

うつ病の代表的な症状は主に「心の症状」ですが、「身体の症状」も出現する場合があります。

心の症状

なんとなく憂うつ

何をしていても楽しくない

イライラする

気分が落ち込む

やる気が出ない

むなしいと感じる

何もかもが億劫と感じる

死にたいと感じる(希死念慮)

身体の症状

食欲がない

眠れない

疲れやすい

頭痛

めまい

肩こり

便秘が続く

性欲減退

息苦しさ

これらの症状が2週間以上続いている場合、うつ病と診断される可能性が高いと考えられます。これらの症状は、一般的に誰もが経験する症状ですが、それが慢性的に長期間続くのであれば、それはうつ病の症状の可能性が高いため、心療内科・精神科を受診することをお勧めします。受診するかどうか迷われている場合は、一度カウンセリングを受けていただき、カウンセラーに相談してみてください。

うつ病の要因

うつ病はひとつの原因で生じるものではなく、様々な要因が重なって発症すると言われていますが、主に、「ストレス・環境」「本人の性格タイプ」が影響していると言われています。

ストレス

ストレスというのは、主に日常的なストレス、慢性のストレス、そしてライフイベントで生じるストレスがあります。

日常的なストレスというのは、日々の生活の中で生じる不快な出来事であり、例えば、人間関係の付き合い、通勤、家事、親戚づきあいなどのようなものです。

慢性のストレスというのは、家庭内の不和、職場での人間関係の悩み、経済的な困窮などうつ病のリスク要因としては重大と考えられています。

ライフイベントによるストレスというのは、結婚、離婚、退職、転職など環境を一変させるような事柄です。その出来事をどう受け取ったかによってストレス度合いが大きく変わることと、一般的に良いこととされるような結婚や出産、昇進などもストレスになりやすいと言われたりします。

本人の性格タイプ

うつ病はストレスや環境要因だけではなく、本人の性格も大きくかかわっています。

古くから提唱されているのはドイツのテレンバッハが提唱したタイプで

主に「秩序を重んじる」「他者に合わせようとする」「こだわり性」であることが指摘されています。

つまり、言い換えれば周囲への気遣いも忘れず、生真面目でしっかり者であり、社会的には評価されているような人です。

自分のペースを押し通すことと、他人に合わせることは両立しがたく、その矛盾によって大きいストレスになりますし、うつ病の人の生真面目さは、物事の優先順位をつけにくいという特質があり、徹底的にすべてをこなそうとして、結果的にそれが大きいストレスになってしまうことが挙げられます。

うつ病の治療について

うつ病の治療は、主に「薬物療法」「心理療法(カウンセリング)」「休養」の3本柱で取り組むことが良いとされています。

薬物療法

薬物療法は、主に抗うつ薬を使用します。うつ病の原因のひとつとして、セロトニンなどの神経伝達物質の減少がうつ病を招くといわれます。そのため、セロトニンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質を増やす作用がある抗うつ薬を使用するのです。服薬はすぐにはあらわれません。2週間~1か月くらいの続けてから効果の有無を判定します。

心理療法(カウンセリング)

うつ病患者の心理的側面に働きかけることで、状態を改善させようとするものが心理療法です。うつ病になりやすい人は考え方にある特徴があります。

感情は出来事によって直接引き起こされるものではなく、その出来事をどうとらえるかで大きく変わります。うつ病になりやすい傾向の方は、極端に物事をとらえてしまう傾向にあります。そのような考え方をできるだけ変えていこうとすることが、心理療法です。中でも認知療法や認知行動療法はうつ病の治療に効果的だと言われてします。

休養

何より「休養」はとても大事です。うつ病と診断がついているということは、身体的にも精神的にも疲れているのです。疲れているのであれば休まなければいけません。

休まずにうつ病が治ることはありません。うつ病の治療には何より休養が大事だと言っても過言ではないと言われます。

回復に向けて心がけること

回復に向けて必要なことは、まずは自分を「知る」ことです。うつ病になりやすい人は知らず知らずのうちに自分のことを苦しめるような思考をしてしまう傾向にあります。

うつ病になりやすい思考はいくつかあり、代表的なものは、物事を0か100かで判断してしまう「0か100か(全か無か)思考」

「親の面倒はみるべき」など、時に過度に譲れない目標を作ってしまう「べき思考」

ネガティヴな出来事があった時、それを一般的に生じるものだととらえてしまう「過度な一般化」

良い出来事でも悪い方にとらえてしまう「肯定的側面の否認」

物事に対して最悪の結果を予想してそれを正しいと思い込む「結論の飛躍」などが挙げられます。

カウンセリングでの治療効果

うつ病の治療に効果的なのは、特に認知療法や認知行動療法が服薬と同程度の効果があると言われています。

うつ病治療では、休養と薬物療法と心理療法の三本柱で取り組んでいきますが、

休養は「まず休んで身体的な疲労を回復すること」であり、薬物療法は、現在の症状を落ち着かせることであるならば、心理療法は、根本的な解決に向けた取り組むとなるでしょう。

うつ病の再発率は60%を超えると言われますが、うつ病になりにくい考え方やとらえ方ができるようにするためには心理療法をじっくりと自分の傾向を知ることが大事なのです。

認知行動療法とは

認知行動療法とは、自分自身の考え方やとらえ方を変えることで、自分の気持ちを変えるカウンセリングの手法のひとつです。

ある出来事をどうとらえるかで自分自身の感情は変わっていきます。

例えば、上司から仕事のミスを指摘されたときに、「自分がダメだから指摘されるんだ」と捉えたならば、感情としては落ち込むことになります。

しかしながら、「ミスをしたからしっかり直そう、ミスをしたからって自分がダメとは限らない」と捉えたならば、落ち込みにくくなるのではないでしょうか。

認知行動療法では、このように自分のとらえ方に焦点を当てて、できるだけ客観的視点からバランスの良い思考が取れるようにカウンセラーと一緒に考えていくことがポイントです。

当てはまる方は相談してください

・薬に頼らず治療したい

・再発を繰り返したくない

・自分の傾向をしっかりと知って再発予防をしたい

上記のようにお考えの方は、一度カウンセリング(心理療法)をおすすめします。その際は、認知行動療法に対応できる臨床心理士・公認心理師をお選びいただくと良いでしょう。

Heart Life~こころの悩み相談所~では、うつ病の治療のための心理療法をはじめ認知行動療法専門の臨床心理士や公認心理師が多数在籍しています。当ルームのコンセプトは「もっと身近にカウンセリングを」。できるだけ気軽にカウンセリングを受けていただきたいという思いから、当日でのご予約も積極的に受付させていただいております。

うつ病と似ている病気

適応障害

うつ病と似ているこころの病気では、「適応障害」があります。適応障害は、明確なストレスが原因でうつ病のような症状を呈する場合は、適応障害と診断されます。

うつ病との違いは、明確なストレス源があるかないかです。うつ病の場合は、様々なストレスが複合的に重なり合い生じるものですが、適応障害の場合は、明確なストレス、例えば、異動があり職場の上司からパワハラを受けるようになった等のような明確な出来事があり、なおかつそのストレスから3か月以内で発症した場合に適応障害と診断されます。

一般的には適応障害はストレスを取り除くことができれば、半年以内に回復していくと言われます。

まずはご相談ください

「最近、憂うつ感がとれない」

「やる気や意欲が低下している」

「もしかしてうつ病かも?」

とお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

カウンセラーにお話ししていただく中でお話ししていただくことで、今の状況を整理できますし、カウンセラーに今の状態をお伝えしたうえで受診をおすすめする場合もございます。

当カウンセリングルームでは、「気軽に」カウンセリングを受けられることをコンセプトにした対面を重視したカウンセリングルームです。ご予約はweb予約フォームよりご予約頂けます。

当相談室での改善例

うつ病と診断された男性のケース

20代 男性

【ご相談内容】
・仕事のことで不安が募り、休まらず、吐き気など身体症状があるし、抑うつ状態が続いている

【治療経過】

心療内科受診(うつ病と診断)しつつ、カウンセリングを利用。全6回。

仕事のプレッシャーなどストレスを上手にコーピングできなかったことや、仕事上で不安なことや心配なことなどを相手の顔色を窺い、相談することができなかったことに気づく。相手の顔色を窺うことでのストレスも大きかった様子。なぜそのような考え方をするのかに焦点をあて、どうすればストレスを少なくして、相手の顔色を気にし過ぎないようになるか、認知行動療法のスキームと来談者中心療法をベースに話を深めていった。

【治療方法】

認知行動療法・来談者中心療法

【治療結果】

自分なりの考え方のクセに気づき、楽観的に考えられるようになったことで、回復に向かう。

自分自身の考え方の傾向を認識し、楽に生きられるようになりそうだと話された。

「カウンセリングにきてよかった」とも仰られ、ご本人の希望もあり、終結に至る。

ご本人の気づきや比較的軽度な方でもあったため、かなり短いスパンで改善に向かった。

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