うつ病とは、「気分の落ち込み」「やる気の低下」「不眠など三大欲求の低下」が特徴的な症状と言われますが、実はうつ病になるとそのほかにも様々な症状が現れます。
代表的なうつ病の症状はどのようなものでしょうか。今日はうつ病の代表的な症状について大きく7つ解説したいと思います。
症状①決断力の低下
うつ病の代表的な症状のひとつに決断力の低下が挙げられます。
これは日々の些細なことを考えたり、決めたりすることができにくくなるんですね。
よくあるのは、家事です。食材を買いに行くために外に出るのもかなりの心理的なエネルギーが必要なわけですよね。
朝起きて、身なりを整えて外に出て歩いて、物を選んで、お金を払って、帰ってきて、と実はうつ病じゃない方からすれば当たり前のことだと思うんですけれど、実はかなりの心理的エネルギーを使っているのでうつ病の方からするとかなりハードルが高いのです。
特に買い物であれば、「今日は何を買おうか」とか「食事は何にしようか」とか決めたりするわけなんですけれども、これにエネルギーを使うわけです。
人は1日に何百回も決めていると言われたりしますが、これがうつ病の人にとってはかなりエネルギーを使うものであり、かなり大変なことなんですね。
決断力に付随して、うつ病の症状としては、思考力も低下します。
LINEやメールとかのちょっとした文章を考えたりするのも実は大変なんですね。
考えることも実はかなりエネルギーを使ってるわけです。
これまで簡単にできていたことが、できなくなるので自分が何もできない人間だと思うようになってますます気持ちが落ち込んだりする傾向にありますので、できるだけひとりで頑張らずに誰かに頼ってもらえると良いでしょう。
症状②全身倦怠感
うつ病の代表的症状に全身倦怠感が強いというのが挙げられます。
これはどういうかというと、朝起きたり、歯磨きをしたり、階段を上り下りしたりとかこのような日常生活の当たり前のことがとてもしんどいと感じるということです。
人によっては、全身に鉛が入っているような感覚になられる方もいるといいます。
よく「うつ病の人は怠けているんじゃないの?」という誤解がありますけれど実はこの症状が原因だったりするわけです。
身体があまりにも重いので動けない、結果何もできないわけです。
それを無理解な人から見れば怠けていると見えるというわけですね。実は症状として生じているんです。
あと、頭が重いと感じるのも症状のひとつですね。
人によっては、頭に大きなお椀をかぶっているような感覚と言われる方もいます。
そして、そのお椀が定期的に締め付けてくる感じもある方もいます。そのような症状が続くと、頭の重さが苦しすぎて、周りの人間関係に気を配れなかったりすることもあります。
症状③感覚過敏
うつ病の代表的症状に音や光にかなり敏感になるとも言われたりします。
音と言っても日常生活にありふれた音ですね、扉を開け閉めする音とか相手の声が大きく聞こえたりとか、テレビやスマホの光がめちゃめちゃ強い光に見えたりします。
重度のうつ病の方だと、カーテンを閉め切った無音の部屋で何年も過ごしていたという方もいたりします。
太陽の光や室内灯やスマホなどの光とか、他人が出す些細な音とかがすべて不快になってしまう方もいます。
特に対人関係だと普通に話しているだけでも、キツイ口調に聞こえたりすることもあるので、周りの人はいつも以上に穏やかに話してあげるようにすることが大事かなと思います。
症状④理解力が低下
理解力や記憶力が低下することも症状のひとつです。難しい内容じゃなくても理解できないなと感じるのです。
うつ病になって、映像や文章の意味が理解できなくなったというのはかなり多くの方が体験すると言われます。
大好きな本が読めなくなったり、テレビがみられなくなったりするわけですね。
特に映像の場合は、動画を観ながら同時に音声も理解する作業ってかなり負荷があるんですよね。
そもそも先程お伝えした、テレビの光が強い光に見えたりするので人によっては、テレビとか映像は一切みないようにする方もいたりします。
あとは、記憶することも難しくなります。特に記銘力が低下すると言われます。
記銘力というのはどういうことかというと、新しく体験したことを記憶する機能のことですが、新しく会った人の名前が覚えられないとか、打ち合わせしたばかりの情報が頭から抜けてしまったりとかそのようなことが起きます。
この症状のせいで職場でミスが増えて自分の異変に気付かれる方も多かったりします。記銘力の低下はやる気や能力の問題ではないんですね。
これも結局、心理的エネルギーが低下しているために生じます。
症状⑤不安
不安はうつ病の症状の一番と言ってもいいくらい代表的症状のひとつです。
例えば、働くことが難しい状況にある人であれば、この先どうなるかという将来に対する不安を抱いたり、焦ったりするわけですね。焦ってもすぐに働けるわけではないので更に焦燥感が増していくわけですね。
不安を少しでも減らす方法は、深呼吸したり、目を閉じたりなど単純な動作をすることで少し落ち着くこともあると言われたりしますので、不安に駆られたときはこのような動作を取り入れてもいいと思います。
症状⑥反芻思考
反芻思考というのもこれもうつ病の代表的な症状のひとつです。
反芻思考と言うのは、繰り返しぐるぐると同じことばかりを考えてしまうことです。
自分の意思とは関係なく、過去の公開や傷ついた体験など、特にネガティヴなことをぐるぐると考えてしまう思考のことを反芻思考と言います。
考え続けても結論や解決策は出てくるわけではないのはわかってはいるけれど、堂々巡りで考えてしまうんですね。
周りからの励ましも全く耳に入らない状態になるわけです。周りができることは、本人の気持ちを否定せず、ただ受け止めて聞いてあげることですね。聞いてもらえたことで少し気持ちが落ち着くこともあると言われます。
症状⑦自責の念
すべて「自分が悪い」と自分を責めてしまうことを自責の念と言ったりしますが、これもうつ病の代表的な症状です。
例えば、道端で泣いている子どもがいたら、自分のせいで泣いている、と思ったり、明らかに自分が悪くないようなことでも自分が悪いとすべて結びつけて考えてしまいがちです。
自責の念に駆られてしまうとなかなか周りの声にも耳を傾けられないし、聞くことができない状態になります。
自責の念から離れる第一歩としては、少しずつでも自分のポジティヴなことを認識することが良かったりしますから、周りの人は、良いところを褒めたり、感謝を伝えると実はうつ病の人にとっては救いになるのですね。
自責の念に付随してでてきやすい感情としては、死にたいと思う「希死念慮」も強くあるんですね。
うつ病になると「働けない」「何一つ楽しいことがない」「希望がない」という状況になりやすく、次第に「生きている意味があるのか?」と思い、希死念慮が強くなったりします。
重度のうつ病の方は、寝たきりの状態になるので、自殺する気力すら起きないと言われますが、うつ病が治りかけたころが一番危ないと言われます。
人によっては、慢性的に「死」について思いながら生きている人もいます。
踏みとどまらせたのは、家族や友人や大切な人を悲しませたくないということで踏みとどまれた人もいるんですね。周りはいつでも声をかけたり気にかけたりすることがとても大事だということです。
今回はうつ病の代表的な症状について大きく7つご紹介いたしました。
この記事の監修者
横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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