休職したくない方は必見!仕事を続けながらうつ病の治療はできるのか?詳しく解説

このコラムでは、うつ病と診断されたけれども、休職せずに仕事を続けながらうつ病の治療はできるのかどうかについて現役の臨床心理士が解説します。

仕事をしながらうつ病の治療はできるのか?

結論から言いますと、仕事をしながらうつ病の治療はしないほうがいいです。しかしながら、うつ病と診断されて休職されている方もいらっしゃるんですけれど仕事を続けていらっしゃる方もけっこういらっしゃいます。実際、うつ病と診断されているにも関わらず主治医から休職した方が良いと言われても仕事を続けている方も少なくありません。

では、仕事しながら通院している人もいるわけだからうつ病でも休職しなくても治療できるのではないか?と思うかもしれないんですけれども、仕事しながら通院している人は、一度休職している方が大半だったりします。ですからうつ病の治療は仕事しながらだとしないほうが良くて、治療がすにくいんですね。じゃあなぜ仕事をしながらうつ病の治療はしないほうがいいのか、ということについて大きく3つ詳しく解説していきます。

仕事を続けながら治療しない方がいい理由①

理由ひとつめとしては、治療の一環だからです。

これはどういうことかと言いますと、うつ病の治療は、服薬とカウンセリングと休養の三本柱なんですね。このどれかひとつでも欠けたら良くないんです。休養しないで服薬やカウンセリングを続けたとしても、全く効果がないとは言いませんがあまりおすすめはしません。そもそもうつ病と診断されているということは、心身ともに疲れているからなんですよね。前提として疲れています。だから休まないといけませんよね。疲れている状態なのに、仕事するというのはたとえて言うなら、故障している車があって、それを無理して走らせているのとほぼ同じだと思ってください。

そんなことしたら、車は更に故障する可能性がありますよね。なので、仕事しながら治療を続けるよりも、休職して治療したほうが、結果的にうつ病も回復しやすいと思われます。

仕事を続けながら治療をしない方がいい理由②

理由2つめとしては、悪化する可能性があります。

先程の車の話に戻りますが、故障している車があります。でもエンジンはついてプスンプスンと変な音はしますがなんとか走らすことができます。うつ病と診断されているということはこの車と同じ状態です。

これでじゃあ旅行に行こうとして車を長距離走らせますか?走らせませんよね。走らせたらどうなりますか?故障しますよね。もしかするとエンジンが故障して少しだけ走れてたものが全く走れなくなるかもしれません。

うつ病で休養しないということは、故障している車を走らせるようなものと同じです。つまり、余計に悪化する可能性があるんですね。今は、なんとか日常生活が遅れているかもしれませんが、ひどくなれば、一日外に出られない、入浴することもできないなど1日中床に臥せる状態になることもあります。

そこまで重度になると回復するまでかなり時間がかかります。なので、休職制度があれば是非とも休職して治療に専念して下さい。

やむを得ず休職制度がないとかそういうことであれば、退職も検討することが大事だと思います。無理して働くというのはうつ病の治療には大敵ですので、致し方無いところもありますが、ただ休職できるなら是非休職して治療していきましょう。

仕事を続けながら治療をしない方が良い理由③

理由3つめとしては、仕事が原因だったりするからです。うつ病になる理由は様々な理由があると思うんですけれども、要因のひとつとしては、仕事が原因だったりするんですよね。

であれば、少し仕事から距離をとる必要があったりすると思うのです。

けれども、うつ病になりやすい人は真面目な人が多いので仕事のことばかり考えてしまいがちなんですよ。仕事から離れることで症状も快方に向かう可能性もあったりします。

ですから、まずは仕事から離れてみる、自分の症状を回復するためにも離れる勇気を持つことが大事かなと思います。

それでも休めないのであれば?

うつ病と診断されたら休んで治療に専念した方が良いというのが基本なんですけれどもそれでもどうしても休めない、休みたくないと感じる人もいるかもしれません。

「どうしても休めない」ってことは殆どないと思うんですよね、こんな言い方をするのはキツいかもしれませんが正直、あなたの代わりはいくらでもいます。それでも「休めない」と感じる方は、「休みたくない」と感じているんですよね。

うつ病になりやすい人は、真面目で責任感が強い傾向にあると言われます。だからこそ、「休んじゃいけない」と思いがちなんですけれども、そんなことはありません。

でも、一方でうつ病になりやすい人は一度「こう」と思い込んだら突き進んじゃう、固執してしまう、こだわってしまう傾向にあったりしますから、そんなことを言っても意味がないんですよね。

実際、うつ病と診断されていてカウンセリングに来室される方に休養を提案しても休養という選択肢はまったくないんですよ。

でもしばらく経って、いよいよ体調が悪化してきて初めて休職されるという方は少なくありません。

だからうつ病からの回復の近道は休養ですが、休めないと感じるのであれば、まずは誰かに相談することです。

まずは仕事では上司に相談してください。今うつ病と診断されているということをお伝えください。そして周りの家族にも話をしてください。

誰にも話せないと感じるのであれば、カウンセリングを受けて頂いた方が良いと思います。そもそもうつ病の治療はカウンセリングが必要ですから、そこで今後のことについて話し合った方が良いと思います。

うつ病を甘く見ない方が良い

うつ病というと、「甘えだ」と思う方もどうしてもいらっしゃったりします。気合が足りないとかね、そういう根性論で考える人もいまだにいるのも事実です。

実際、うつ病と診断された方でもそのように感じている方もいらっしゃったりするのでなかなか誤解や偏見が強いと感じます。

だからそのような考えの方であれば、うつ病なんて放置すれば治るだろうと感じている人もいるかもしれませんが、しかし、残念ながらうつ病は放置しておけば治るものではありません。

放置するとどうなるのか。結論から言うと、うつ病の症状が悪化する恐れがあります。

ちょっと擦り傷になっちゃった、レベルではないんですね。

先程の例でいえば、うつ病と診断されているということは、エンストしそうな車に等しいんですね。

そのまま放置すれば当然エンジンは泊まりますし、エンジンの復旧ができなくなって、新しいエンジンに取り換えることになるわけです。なので、早めの治療が必要です。

早めに治療すれば、早めに回復しますし、逆に放置すればするほど回復も遅くなっていきます。

わかりやすい例でいえば、インフルエンザになったと仮定したときに、本来なら安静にして回復するために休養をとると思うんですね。でもインフルエンザなのに、普段のように活動していたらどうでしょうか。本来なら1週間で回復するところが、こじらせてしまって2週間3週間、場合によっては肺炎など起こして入院するかもしれないですよね。

逆に風邪のひきはじめだったら、早めの対処をすればすぐに回復することもありますよね。逆に風邪をそのままにしていたら、発熱や咳など症状が悪化する可能性もあるわけです。だからこそ、うつ病の治療というのは、早めに治療・対処したほうがいいんですね。

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この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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