実は大人にも多い!愛着障害の種類や特徴、治療法を徹底解説

一般的に子どもに見られる症状として認知されている「愛着障害」ですが、実は大人になっても愛着障害が原因でさまざまな問題が生じている方も多いのです。

とはいえ、そもそも愛着障害について知らなかったり、自分が愛着障害なのか確信を持てないという方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、愛着障害の種類や症状、治療法について詳しく解説していきます。

人間関係や情緒に問題のある方は愛着障害の可能性もあるため、ぜひ最後まで本記事を読んでみてください。

愛着障害とは?

愛着障害とは、幼少期に親や家族、養育者から愛着関係が形成されないまま育ってしまい、人間関係や精神的な問題を抱えている状態のことを指し、専門的にはアタッチメント障害とも呼びます。

本来、言葉でコミュニケーションを取ることのできない幼少期において、お腹が空いたときや眠たいときなど、”何かを伝えたいとき”に泣いて周りの大人に知らせようとしますが、このときに、親や家族、養育者が優しいコミュニケーションを取ってくれることで適切な愛着が形成されるのです。

しかし、虐待や両親の離婚、養育困難などの原因によって幼少期に愛のない関係を築いてしまうことで愛着障害となってしまう可能性があります。

愛着障害の種類

愛着障害の種類は下記の2つです。

・反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)

・脱抑制型愛着障害

どちらの症状も5歳前後の子どもにみられる愛着障害の症状ですので、大人になってから同じ症状がみられることは少ないですが、現在愛着障害になっている可能性がある場合、子どもの頃にこのような愛着障害の症状がみられている場合も多いため、まずは子どもの愛着障害がどのようなものなのかを理解することが大切です。

それでは、それぞれの愛着障害の種類について詳しく解説していきます。

①反応性愛着障害(反応性アタッチメント障害)

反応性愛着障害とは、苦しみや痛みを感じたときに周囲に助けを求めることをせずに苦痛を周囲に表現できない症状のことを指します。この愛着障害は養育環境の悪さや両親との関係の悪さなどの環境的要因が主な原因です。

②脱抑制型愛着障害

脱抑制型愛着障害とは、反応性愛着障害とは反対に、過剰に周囲の人に接触したり馴れ馴れしく接したりする症状のことを指します。

この愛着障害は、虐待や過干渉、両親が感情的なのが主な原因です。

愛着が形成されるタイミングは?

愛着が形成されはじめるのは、生後3ヶ月を過ぎたころと言われています。

というのも、生後3ヶ月ほどになると、いつもお世話をしてくれる親、家族、養育者とそうでない人の違いを判別することができるようになるため、このときの愛情が愛着形成の第一歩になるのです。

とはいえ、3ヶ月未満の子どもとは愛着形成ができないというわけではなく、3ヶ月未満の子どもであっても自分の要求に愛情を持って接してくれる親の存在を認識することができるため、愛着形成において3ヶ月未満の子どもと信頼関係を築くことも大切になります。

このように、愛着が形成され始めるのは生後3ヶ月からですが、それまでの過程も愛着形成には非常に重要なのです。

愛着障害が発症するタイミングは?

愛着障害は一般的に5歳までに発症すると言われています。実際、先ほどお伝えした「反応性愛着障害」と「脱抑制型愛着障害」の2つの愛着障害は5歳前後の子どもにしか現れない症状として扱われているため、大人になってから愛着障害と診断されることはありません。

とはいえ、愛着障害は子どもだけの問題というわけではなく、最近では大人になってから愛着障害に悩まされているという方も増えていることはもちろん、愛着障害だとは気づいていないケースも多いのです。

では、大人の愛着障害にはどのような症状が見られるのでしょうか?

大人の愛着障害の症状とは?

大人の愛着障害の主な症状は下記の3つです。

・人間関係の形成が難しい

・情緒が安定しない

・アイデンティティを確立できない

それぞれの症状について詳しく解説していきます。

1.人間関係の形成が難しい

子どもの頃に愛着障害を患っている場合、大人になってから人間関係の形成がうまくいかないことも多くなります。

例えば、仕事上のコミュニケーションをうまく取れなかったり、恋人との関係がうまくいかないなど、日常的な人間関係で問題が生じるケースも多いのです。

2.情緒が安定しない

幼少期に両親や養育者から無償の愛を受け取らなかったことがきっかけになり、大人になってから他人との関係で極端に落ち込んだり、怒りを覚えたりと、感情をうまくコントロールできないという症状も見られます。

すぐに感情的になってしまうと感じる方は愛着障害が原因になっていることもあります。

3.アイデンティティを確立できない

大人になると自分に合った選択を求められる場面も多く、そのときに大切になるのが”自分がどのような人なのか”を理解するために必要なアイデンティティの確立です。

自分の好きなことや出来ること、やりたいことなどを理解できている場合はキャリア形成や選択などを謝ることは少なく、自身で決定したことに対して満足度は高くなりますが、

愛着障害によってアイデンティティの確立ができていないと自分に合った選択ができず、選択したことへの満足度も低くなってしまいます。

大人の愛着障害の治療はカウンセリングからはじめる

先ほどもお伝えした通り、愛着障害は基本的に子どもに見られる症状であるため、大人になってから病院に行っても愛着障害を治療することはできません。そこで効果的な大人の愛着障害の治療法として挙げられるのが「カウンセリング」です。

愛着障害の原因は幼少期を過ごした環境に依存するため、大人になってからでは親からの愛情を新たに感じることは難しくなってしまいますが、カウンセリングを受けることで愛着障害に理解のあるカウンセラーと親身になって話すことができ、自分自身を受けて入れてくれる環境や安心できる居場所を新たに作ることができるため、愛着障害の改善が見られます。

とはいえ、大人になってから愛着障害を自覚しているという方は少ないため、感情的になったり、自己肯定感や自尊心が極端に低いと感じる場合は、愛着障害の可能性もあるため、一度カウンセリングを受けることがおすすめです。

また、愛着障害が原因になってうつ病や不安障害、摂食障害、睡眠障害などの精神疾患になってしまった場合は、医師への相談が欠かせないことも覚えておくといいでしょう。

まずはカウンセリングを受けてみましょう

本記事では、愛着障害の種類や症状、治療法について詳しく解説していきました。

愛着障害は子どもの頃の環境に大きく左右されるため、大人になってから愛着障害を疑うことは少ないですが、実際に愛着障害で悩んでいる大人も多くいるため、人間関係の形成が難しいと感じていたり、情緒が安定しないと感じる場合は、まず愛着障害に対して豊富な知識を持っているカウンセラーにカウンセリングを依頼してみましょう。

カウンセリングを受けることで、自分では思っていなかった問題が浮き彫りになったり、安心できる環境を作ることで人間関係の構築や情緒の不安定さについても改善することが多いのです。

ぜひ本記事を参考にして愛着障害について理解を深めてみてください。

この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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