愛着障害とは?カウンセリングで治療できるのかも解説

「愛着障害はカウンセリングで治療できる?」

「そもそも愛着障害とは?」

「愛着障害のタイプ分類を知りたい」

情報の移り変わりが激しい今、あらゆる学問も加速度的に前進しており、それは精神医学も同じことです。

本記事では、愛着障害の特徴をタイプ別に詳しく解説していきます。

愛着障害ではないかと考えている方、心の悩みを抱える方は、ぜひ最後までご覧ください。

愛着障害とは?

愛着障害は、幼児期や幼少期に受けた不適切な養育や虐待・放置・拒否などによって生じる精神障害の一つです。

主な症状は、信頼関係を築けない、他人に依存しすぎる、拒絶されると激しく反応することなど。

治療は心理療法が主流であり、具体的には、安心感を得ること、信頼関係を築くこと、適切なコミュニケーションを身につけることなどを目指します。

また、愛着形成のためのトレーニング、親子関係の改善、社会性の向上なども重要です。

しかし、治療には長期間が必要で、完全に治すことは難しい場合もあります。

愛着障害はカウンセリングで治療できるのか?

愛着障害やその影響を受けた人々は、過剰な不安、人間関係での問題、自分に対する自己否定など、多くの問題を抱えることが多々あります。

しかし、カウンセリングや心理療法による治療を受けることで、自己認識の向上、適切な自尊感情の発達、信頼関係構築の方法、自己効力感の向上などの効果が期待できます。

愛着障害を持つ人々にとって、安定した関係性を構築することは難しい場合がありますが、適切なアプローチや治療法を選択することで、愛着障害による問題を軽減できます。

また、家族やパートナーも治療に参加することで、より良い関係性を築きながら、治療効果を高めることができます。

愛着障害を抱える人々にとって、適切な支援や治療を受けることは、豊かな人間関係や健康的な生活を送るために不可欠な要素です。

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【タイプ別】愛着障害の特徴や症状と原因

愛着障害を持つ人々は、安定した愛着関係を築くことが困難であることが多く、対人関係において問題を抱えた際には慎重な対応が必要です。

まず、患者との接し方については、安定性と一貫性を持った関係を築くことが重要です。

また、本人の状態を正しく理解することが必須であり、症状が現れた際には、焦らず、静かに対処することが求められます。

また、愛着障害の患者にとって、信頼関係を築くことは非常に困難であるため、患者自身が主体的に関係を築くことが望ましいでしょう。具体的には、相手のニーズを真剣に受け止め、共感する態度を心がけることが必要です。

さらに、患者には、不適切な行動がなされた場合には、その行動が問題であることを明確に伝え、修正を促すことが必要です。ただし、真摯な態度で問題解決に向けたサポートをしつつ、批判や非難をしないように心がけることが求められます。

以上のように、愛着障害を持つ患者に対する対応は、患者自身が感じられる安定した愛着関係を築くことが重要です。そのため、対応する人自身が感情的に安定していることが重要であり、患者に向き合う姿勢が非常に重要なポイントとなります。

また、愛着障害は以下のように細分化できます。

  • 反応性愛着障害
  • 脱抑制性対人交流障害
  • 大人の愛着障害

それぞれ特徴や原因、治療方法を紹介します。

反応性愛着障害

反応性愛着障害は、赤ちゃんや幼児期に密着的で安定した愛着関係が形成できず、不規則な環境下で育ったことによって生じる愛着障害の一つです。

これらの子どもたちは、不安定な環境で育ち、経験する刺激に対する反応が鈍いか、過敏になることがあります。

このため、彼らは自分自身を守るために、周りの人々との愛着関係を不安定にしてしまうことがあります。

具体的には「警戒」という形で人と接することが特徴で、人を信頼できなかったり、過度に距離を置いたりします。

治療の中心には、クライアントとの信頼関係の構築があります。

重要なのは、感情や人間関係の問題が発生する際、クライアントがどのように反応しているかを確認し、彼らの思いや感情に寄り添っていくことです。

利用の詳細については後述します。

原因

反応性愛着障害は、およそ5歳までに重大なストレスや虐待、生活上の脅威的な状況に直面した子供が、過剰な警戒心や自己防御を強化することで、安定した愛着関係を築けなくなることが原因です。

そのため、彼らは信頼することができる人物や安全な場所と接触することに対して、反射的に恐怖や不安を感じるようになり、自己防衛策として過剰な束縛や拒絶を示すことがあります。

反応性愛着障害の人々は過去の虐待的な経験により、相手を試して、常に相手からの安心と安全を確認する必要があると思考するようになっているため、相手を不安定な関係に導くことがよくあります。

そういった人々に接する場合、チーム全体でコミュニケーションや関係を構築するためのもっとも効果的な対応策は、一貫性のある対応や、彼らが安心できるような環境を提供することです。

それにより、相手の信頼を得ることができ、時間をかけてゆっくりと愛着関係を構築することができるようになりえます。

治療方法

反応性愛着障害の治療には、専門家によるカウンセリング、療法、薬物療法などがあります。

治療の目的は、個人の感情的ニーズ、自己価値感、自己認識を向上させることにあります。

たとえば、専門家は、クライアントに安全で安心感のある環境を提供し、それを維持することに重点を置いた感情的なサポートを行います。

また、不安や恐怖を軽減するために、深呼吸やリラクゼーション技術を教えたり、他のストレス緩和方法を教えることもあります。

薬物療法は、神経系に影響を与え、感情安定剤や抗うつ剤などが使用されます。

反応性愛着障害は適切な治療法を選択することが重要で、愛着に基づく安全で持続的な人間関係を構築することが目指されます。

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脱抑制性対人交流障害

脱抑制性対人交流障害は、幼児期や幼少期に、心理的、感情的、また身体的にのめり込んだ愛着関係があり、または虐待や重度の拒絶に曝されたことが原因で生じる愛着障害の一種です。

この障害を持つ人は、過剰な愛着や依存、そしてアプローチや求愛の行動を示します。

しかし、一方で一緒にいる人との距離感や個人的な空間の確保に一定の困難を抱えています。

相手にとって不快になるようなしつこく過度に依存する傾向が強く、このために、他の人との関係を持続することが難しくなります。

反応性愛着障害の対人特徴が「警戒」であるのに対し、脱抑制性対人交流障害の対人特徴はいわば「過剰接近」です。

このタイプの愛着障害を治療するために、認知行動療法、家族療法、精神分析療法、グループセラピー、薬物療法などさまざまな方法が使用されます。

治療の目標は、社会的スキルの改善に向け、過剰な依存を軽減させ、自己肯定感の向上を図ることです。

治療によって、この障害を持つ人が個人的な空間を確保し、健全な関係を築くことが可能になることを目指します。

詳しい治療方法は後述します。

原因

脱抑制性対人交流障害は、しばしば自分自身に関する過剰な情報を自己開示することがあり、その結果、他人との関係を傷つけることがあります。

このタイプの問題は、主に家族内の環境や、情報共有が過剰な状況などの社会環境によって引き起こされます。

また、過去のトラウマ体験も影響を与える場合があります。

治療には、専門家によるカウンセリングや心理療法などがあります。

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治療方法

脱抑制性対人交流障害の治療方法は主に認知行動療法、心理療法、および薬物療法を用いることが挙げられます。

認知行動療法は、クライアントの思考や行動に焦点を当てた治療法であり、クライアントは自己コントロールを回復するために必要なスキルや、情報処理の方法を学びます。

心理療法には、対人関係における信頼関係を強化し、感情の調整をより適切に行うための方法が含まれます。

治療中、クライアントは自らの感情や行動、思考についての洞察を深め、自己認識を高めることを目指します。

また、薬物療法では、特定の症状を緩和するために抗不安薬や抗うつ薬などが使用されます。

以上の治療法を用いることで、脱抑制性対人交流障害のクライアントが自分自身や他者との関係性を改善し、社会生活を円滑にできる可能性が高まります。

ただし、治療の過程はクライアントによって異なるため、治療の効果を最大限に引き出すためには、専門家による個別のアプローチが必要です。

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大人の愛着障害

大人の愛着障害は、子ども期や幼少期に十分な愛着関係を形成できず、必要な感情的支援を得られなかったことが原因であるとされます。

そのため、大人になってからも、不安や孤独感を抱え、人間関係において問題を抱えやすくなります。

具体的には、親密な関係を築くことに不安を感じたり、相手が自分を嫌っていると感じたりすることが多いために、対人関係において不適切な行動をとることがあります。

また、実際に愛着関係を築いても、相手に対して冷たくなる、不安を感じて相手を避けるなどの行動が見られることがあります。

これらの行動は、過去に愛着関係を築くことができなかったことによる心の傷が原因とされます。

大人の愛着障害がある場合、カウンセリングを受けることで、過去のトラウマを解消し、健全な人間関係を築くことができる可能性があります。

しかし、必要な支援を受けられないまま悪化してしまうこともあるため、適切な対処が求められます。

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原因

大人の愛着障害においても、子ども時代の環境によって引き起こされることが多いです。

たとえば、親からの過剰な依存や過干渉、感情的な無視や拒絶、または不安や緊張のなかで育ったことが原因となって、愛着の発達に問題が生じ、成人後に愛着障害を発症することがあります。

親からの依存や過干渉は、子どもが自己決定力を育むことを妨げます。

また、感情的な無視や拒絶は、子どもに対する反応性愛着や安全基地を欠かさせ、不安やストレスなどを引き起こします。

したがって、これらの環境に置かれた子どもたちは、愛着に関する基本的なスキルを十分に発達させることができず、成長後に対人関係や自己アイデンティティに問題が生じやすくなります。

なお、大人の愛着障害は、慢性的な孤独や不安、うつ病などの心理的疾患と密接に関連していることがあります。

愛着に問題を持つことが、成人後の人生において精神的な苦しみを引き起こすため、早期の治療が重要です。

治療方法

大人の愛着障害の治療方法においても、主に心理療法、カウンセリング、および薬物療法を用いることが挙げられます。

心理的トラウマがある場合には、その解消も同時に行うことが大切です。

また、対人関係や社会的スキルの向上も重要となります。

カウンセリングでは、聴き手としての存在が重要であり、患者が自分自身の感情について話せる環境の提供が目的です。

薬物療法には、多く抗うつ薬や抗不安薬が使用されます。

しかし、薬物療法は症状を軽減するための補助療法に過ぎず、根本的な改善には心理療法やカウンセリングが必要です。

治療期間は長期化することが多く、患者は治療を妨げることのないように、継続的な支援が求められます。

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愛着障害はカウンセリングで治療できる

愛着障害は、親やそれに当たる人との関係性の不調和によって生じる精神障害です。

愛着障害を持つ人は、他人との関係に対して不安や警戒心を抱くことがあります。

そのため、仕事や日常生活などで、一定のスキルや対人関係が必要な場面でストレスを感じやすく、生きづらさや孤独感を感じてしまうことがあります。

しかし、カウンセリングによる治療を受けることで、そのストレスや不安を払拭することも可能です。

カウンセリングでは、患者自身が抱える問題や症状に合わせた、個別にカスタマイズされた治療を行うことができます。

具体的には、カウンセラーは患者との対話を通じて、患者が抱える問題や感情を深堀りしていきます。

そのうえで、愛着行動に対する理解を深め、安全な信頼関係を築くことを目的としています。

患者が自分自身を深く理解し、自己肯定感や自己受容感を高め、良好な人間関係を築くためのスキルを身につけることが重要になります。

また、薬剤治療による効果も報告されており、愛着障害に対して使用される薬剤の一つとしてSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)があります。

薬剤によって、抑うつや不安の緩和が期待できます。

治療の期間は患者によって異なりますが、10回程度、1回30〜60分程度のセッションを定期的に受けることが推奨されています。

愛着障害は、感情や心理的な問題に起因するため、治療までに時間が掛かる場合もありますが、その分長期的な効果があります。

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この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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