こんにちは。Heart Lifeの室長の丸田です。
明後日からゴールデンウィーク!
最大9連休の方もいるかもしれません。
そんな今日この頃ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。
さて本日はうつ病から回復するための「考え方」についてお話していきます。
【うつ病は回復するこころの病気】
うつ病になったらよく「すべてが終わりだ」とか「詰んだ」とか
思いがちな方が多いと思うんですけれど
そう思うのは、
ひとつにはきっとうつ病が回復しないと思うからだと思うんですね。
でもうつ病ってちゃんと治療すれば回復するこころの病気なんですよね。
認知症のように進行性の病気ではないので回復するんですよね。
でも患者さんによっては、
うつ病を発症してから
5年、10年と長期間にわたって治療をされている方や
うつから回復したと思ったのに再発を繰り返す方も一定数います。
実際、うつ病は再発しやすいこころの病気で有名で
6割近くが再発すると言われたりします。
うつ病の治療は「薬物療法」「心理療法」「休養」が大事ですが
薬物療法も実はうつ病患者さん全員に効く訳じゃないんですね。
一般的には6割の方には効くと言われていますが
残りの4割の方には効かないとも言われます。
初めて心療内科とかカウンセリングとか来室される方だと
「薬は飲みたくない」と仰られる方は少なくありません。
確かに薬漬けにされる印象もありますし
実際、うつ病だと6割しか効かないと思うと
飲みたいとは思いませんよね。
特にカウンセリングに来室される方は多い印象があります。
薬は飲みたくない、薬を飲まずに治したいっていうことですね。
もちろんその発想は悪くはないけれど
状態や環境によっては服薬も必要だったりするので
必ずしも薬なしで大丈夫とは言えないところではあります。
【再発を繰り返す人と回復する人、何が違う】
再発をする方や長期間治療を続けている方と
一方で
回復する人とは一体何が違うのでしょうか。
結論から言うと、
考え方が違います。
うつ病になりやすい人は考え方が
特徴的なんですね。
代表的なのは
白黒思考、つまり0か100かで捉えがちなところ
ネガティヴ思考、ポジティヴなことでもネガティヴに捉えがちだったりする
完璧主義、ひとつでも失敗したらすべてがダメに思ったりする
べき思考、○○しないといけないと自分に負荷をかけがち
などが挙げられますが
その思考をゆるやかにできるようになる人から回復すると思うんですね。
今日はじゃあどういう思考になれば
うつ病から回復しやすいのかお話していけたらと思います。
【うつから回復する思考】
まずは「うつ病が発症する前の自分に戻ろうと思わない」ことです。
うつ病になる方のほとんどがうつ病になる前の感覚に戻りたいと思う人が多いんですけれど
はっきり言いますが無理です。
人は時間が経てばたつほど変わっていきますよね。
社会も変わっていきます。
例えば、コロナ禍になって今までテレワークがあまり普及してなかったのに
これがきっかけで増えたりとか、変化は生じているわけです。
というように時間が経てば変化するのは当然なので
以前の自分に戻りたい、と思う気持ちを手放しましょう。
2つめは「無理しない」ことです。
うつ病の人は頑張り屋さんが多いので無理しがちなんですよね。
無理が重なるとどうなるか。
ストレスが溜まり、疲労も溜まり、緊張状態が続くわけです。
これがずっと続けば、心が限界になるのも無理はありません。
ざっくりいえば、適当に生きるってことですね。
うつ病の人はすべてのことを完璧にしたがる傾向がありますが
すべてのことを完璧にはできないと思うんです。
皆適当に生きてるんですよね。
僕も適当に生きていますよ。
ちゃんとするところはちゃんとして、
それ以外のところは適当でいいや、そんな感じだと思うんですよね。
ちゃんとしっかり手をぬけるようになる、そうすればうつ病も再発しなくなるのではないかと思います。
3つめは「他人と比べなくなる」ようにすることですね。
うつ病になりやすい人は自己肯定感が低いので
ついつい他人と比べがちだし、承認欲求が強いんですよね。
だからこそ他人と比べがちなんですけれど。
でもそのマインドって危険で
他人より上手くできていれば調子が良くなると思うんですけど
そうじゃないと落ち込むわけですよ。
すごく疲れますよね。
最近だとSNSが全盛期で否応なく人の
「すごい」部分を見せつけられているので
どうしても比較してしまいがちだとは思いますが
最近よく思うのは人と比べても意味がなくて
大事なことって昨日の自分と比べることなんだよなと思うんですね。
僕もありますよ、アイツより絶対仕事で成功してやる!とか
そう思うと他人との闘いになる。
けど、本当に闘わないといけないのは自分なんですよ。
仕事で成功するためには自分が努力しないといけない。
でも人間ですから努力できない時もある。
そんな自分をいかに律して生きるか、なんですよね。
つまり比べる相手は他人じゃなくて
自分自身なんですよ。
それに気づいた時、僕は気持ちが楽になりました。
ついつい比べてしまうときは、
「あっ、また比べちゃったな自分」と口に出して言ってあげましょう。
自分が何を感じているかどう思っているか、
自分で理解することも大切です。
4つめとしては、「無理に感情コントロールをしようと思わない」ことです
カウンセリングの仕事をしていると
よくある相談で
「自分の感情をコントロールしたい」と仰る方が多いんですね。
確かに自分の感情をコントロールできたらいいですよね。理想的です。
でもそんなことできません。
極端な話、自分の大切な家族が亡くなったら?悲しいですよね?
その悲しい気持ちをコントロールして無くすなんて無理なお話なんですよ。
それよりも
大事なことはそのような感情になった時の
対処法が重要だと思うのです。
どういうことかというと
例えば、Aさんは何事に対してもイライラしがちで、
つい相手に傷つける言動をしてしまうことが悩みで、イライラを止めたいと思っていたとして
生活の中でイライラする事があった時にどうすればいいか?を考えたほうがいいんです。
例えば、イライラしたらイライラを落ち着かせる行動をとるということ。
例えば、その場から離れる、でもいいし、煙草を吸いに行くでもいいし、
誰かに愚痴を聞いてもらうでもいいし、カラオケに行って大声を出してもいいし、
お酒を飲んでもいいし、
そのようにイライラした時の対処法ですよね、
それを自分の中にたくさんもっておいた方が良いと思うんですね。
5つめですね、「何も考えない時間を作る」ことです。
うつ病の原因って反芻思考と言われます。
つまり頭の中で嫌な出来事とか辛い出来事とかを何度も考えてしまうということなんですね。
それによってどういう弊害が生じるかと言いますと
脳が疲れるんですよね。
脳が疲れるといくら身体を休めていたとしても休まってなかったりする。
だから生活の中に「今日の何時から何時までは何も考えない時間にする」とか
決めておくと良いです。
思考をストップするということですね。
それでもどうしても難しいようであれば
他の没頭できることをすることが良いでしょう。
人間は考える生き物ですから
どうしたって時間があれば、考えてしまいがち。
なので気を紛らわす行動をすることも単純なように見えて実は効果的なんですよね。
大事なことは
その今している行動に集中するということ。
うつ病になりやすい人やうつ病の方は、
「いま」に集中できてないんですよね。
どちらかと言えば、「過去」や「未来」のことばかり考えている。
過去のことであれば、例えば
あの時、あんなことしなければよかった、とか後悔もあるでしょうし
未来の事であれば、例えば
今後、○○なことが起きたらどうしよう、とか不安になったりするでしょうし
そのように過去と未来について考えすぎているんですね。
だから「いま」に集中することが大事。
カウンセリングの手法でマインドフルネスというものがありますが、
これはまさに「いまここ」に集中するっていう瞑想の一種です。
最近はオンラインのマインドフルネスとかもあったりして
経営者にも人気だったりするという話も聞いた事があります。
なので今ここに集中してその物事に没頭するというのも効果的なのかなと思います。
6つめは「自分のことだけ考える」ようにすることです。
うつ病の人やうつ病になりやすい人は
他人の目が気になるんですよね。
周りからの評価とか周りからどう思われてるとか
気にしているので
どうしても自分の普段の行動が
他人の目を意識した行動になってしまいがちなんですよ。
その思考って自分がどうありたいかってのは二の次なんですよね。
だから辛いんです。
だから自分のことだけ考えるようにすることが良いです。
自分が心地よいと感じる事とか
良いなと感じる事、そのようなものを見つけていきましょう。
できるだけ心地よく感じるような環境を作っていくことも大事ですね。
【自分に合った環境に身を置く】
以上6つですね、このような思考になる人から
うつ病から回復しやすくなるのかなと思います。
あとはうつ病を発症するということは
極論、今いるその環境が自分に合わないということです。
自分に合わない環境にいることほどしんどいものはありません。
出来る限り、自分にあった環境に身を置くことも重要です。
仕事も、プライベートも
自分が心地よいと感じるところに身を置くことが大事。
仕事だったら、長時間労働よりも時間通りに終わるような仕事とか
体力を使わない仕事とか、短時間業務とか
プライベートもあまり気が進まない遊びは断るとか
行きたいものだけ行くとか
とにかく
自分の心の赴くがままに過ごしてみることも大事です。
【うつ病の回復過程】
最後にうつ病の回復過程についてお話できたらと思うんですけれど
「休み期間」
「リハビリ期間」
「活動期間」の3つに分けられます。
まず「休み期間」ですけれど、とにかく休む期間です。
だいたいはうつ病と診断されて
1ヵ月くらいは寝たきりの生活になります。
人によってはもう少し長い場合もあります。
食事をして寝て、を繰り返す期間だと思ってください。
でも身体は少しずつ回復していきます。
じっくり身体を休ませて少しずつ意欲が湧いてくると思いますから
それがサイン。
次の「リハビリ期間」になります。
週3日くらいは元気だったり、
外出すると次の日は疲れていたりとか
まだ本調子ではありませんが少しずつ活動ができる期間です。
ここで注意したいのは
無理しない事です。
ここで無理をしては「休み期間」に逆戻りすることもありますので
慎重に、無理せず過ごして行きましょう。
調子が良ければ外にでて散歩するのも良いでしょう。
ただし本当に短い時間、5分とか10分程度にしましょうね。
そして最後は「活動期間」です。
少しずつ本を読んだり、今後の生活について考えたり、仕事について
考えたりする時期ですね。
主治医やカウンセラーと相談しながらひとつひとつ決めて行きましょう。
ここでも「無理はしない」こと。
回復したと思って
以前の自分に戻った!と思ってしまうと思うんですが
無理をすると再発します。
少しずつ自分のペースで過ごして行きましょう。
うつ病の回復までは
一進一退を繰り返します。
カウンセリングに来室されるクライアントさんでもよく
「今週は調子がいい」と言っていたのに2週間後は
「前より調子が悪いです」と仰る方は実はけっこう多いです。
ですから「治った!」と思ったら
ある時は
猪子が悪くなって「ぶりかえしたのかな?」と思う時も100%と言っていいくらいあります。
3歩進んで2歩下がるだと思います。でも着実に1歩は進んでいるはずですから
希望は捨てずに少しずつでいいので
回復に向かって過ごしていけたらいいかなと思います。
大事なのは信頼できる主治医とカウンセラーのもとで治療することが良いでしょう。
少しでも疑問感じたら主治医やカウンセラーに相談してみましょうね。
いかがでしたか。
それでは次回のブログでお会いしましょう。
この記事の監修者
横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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