うつ病と診断されたらカウンセリングは必要?詳しく解説

今回はうつ病と診断されてカウンセリングは必要なのか?詳しく解説していきます。

うつ病の治療方法

うつ病と診断された場合、治療法はどのようなものがあるのでしょうか。

結論から言いますと「休養」「薬物療法」「心理療法」の三本柱となります。

原則として休養も服薬もカウンセリングも必要になるわけなんですね。

かなり軽度な人の場合ですと休養をしっかりとることで回復する場合もありますが、うつ病と診断されるということは治療が必要だということなので原則は先程の3本柱で取り組んでいただいたほうがいいと思います。

ただ実際にうつ病と診断されても薬物療法と休養の2つのみで取り組まれている人もいました。

しかし先程の3本柱で治療に取り組んでいる方もいらっしゃいます。

ここで疑問が生じる事でしょう。うつ病の治療にはカウンセリングを併用する場合としない場合があると。確かにそうです。

ではうつ病の治療でカウンセリングが必要な人とカウンセリングが必要じゃない人の違いとは何なんでしょうか。

カウンセリングが必要なうつ病の人の特徴

まずカウンセリングが必要なうつ病の人の特徴についてお話しますが結論から言うとうつ病の発症の原因はその人自身に原因がある場合です。

どういうことかと言いますとそもそも、うつ病の発症というのは様々な要因があるんですけれど、ざっくりいうと、環境要因とその人の性格的要因があると言われます。

環境と言うのは、例えば社会人だったら会社だったり家庭だったりその人が置かれている状況のことですね。

うつ病になった原因が環境にあることもあります。

例えば、会社がブラック企業で始発終電は当たり前、上司から詰められるのも当たり前、みたいな環境にいたら心が壊れてしまうなんてことは容易に想像できるわけです。

他にも仕事も忙しくて家庭も子どもが生まれて、パートナーが病気になり、全部自分でやらなきゃいけない、みたいなそういう状況だったとしたならば、かなりしんどいわけですよね。

その場合であれば環境の要因が大きいと思うのでカウンセリングというよりは、薬物療法と休養や環境調整がまずは必要だったりします。

一方で、うつ病の発症の原因が環境だけでなくその人の性格が影響している場合もあるわけですね。

ここで言う性格と言うのはその人の考え方のクセのことです。

例えば、どんな出来事に対してもネガティヴに捉えがち、とか逆もしかりでポジティヴに捉えがちとかそういうようなことです。

もし性格的要因が強いのであればカウンセリングが治療の中心になるわけです。

じゃあ環境の要因なのか、それとも性格的要因なのかどっちが影響しているのか見極め方は何があるのかという話なんですけれどこれは非常に難しいんですよね。

理由としては環境も性格もうつ病の発症にはどちらも多かれ少なかれ関与しているからです。

でもひとつヒントになるのは例えば、患者さんが就職したけれどうつ病になって退職して転職したけれど

そこでもうつ病が再発して転職して、というように転職を繰り返すとか環境を替え続けるとか

そういうようなことがあればそれは環境要因というよりもその人の性格的要因が絡んでくるのではないかと見立てを立てたりします。

そのような患者さんにはカウンセリングをお勧めすることが多いのかなと思います。

薬物療法と休養だけで治療をしている患者さんの場合の考えられる別のケースなんですけれど、

明らかにその人の性格的要因が発症に影響していると考えられるんだけれどその人自身自覚がないというかピンとこないというか気付いてない場合ですね。

それであればカウンセリングを受けても意味がないんですよね。

だから敢えて薬物療法と休養だけで治療を勧める場合もあります。状態が良くなってきてからカウンセリングを勧めるということもあります。

うつ病の発症は少なからず性格的要因が影響しています。

例えば、どの会社に勤めても上司と折り合いが合わないAさんがいたとしてその人の考え方や感じ方、受け止め方に問題があることが多いんです。

Aさんの場合ですと「こうあるべき」という思考が強過ぎて上司にも求めすぎてしまってでも上司は自分と同じ人間じゃないからぶつかってしまう。

そういうことが繰り返されてだんだんとうつ状態になってしまうようなことです。

カウンセリングは「気付き」

カウンセリングって大切なことは自分自身が「変わりたい」とか「なんとかしたい」とかそういう問題意識を持っていないと効果ってないんですよね。

だから明らかに性格要因も影響しているよなと医者やカウンセラーが思っても本人にその気がないなら治療が進まないのでタイミングをみてお勧めしたりすることもあるようです。

カウンセリングで大事なことって気づきです。自分で自分に気付く事なんですね。

これはカウンセラーがああだこうだアドバイスすることではなくてカウンセラーと対話を通しながら自発的に気付いていくことが重要なんですね。

よくカウンセリングの誤解としてカウンセリングを受けるとカウンセラーからアドバイスをもらえると思われる方が多いんですけれどそう思ってカウンセリングを受けると非常に残念な結果になるかなと思います。

カウンセラーの基本姿勢は傾聴です。相談者の話しを聞く事なんですね。

傾聴をすることによって相談者が自ら自分自身の自己洞察を深めていき、結果的に問題解決の糸口が見えてくる、カウンセリングの考え方はこういうことなのです。

仮にカウンセラーがカウンセリングの中でアドバイスするとどうなるかと言いますとただのカウンセラーの意見の押し付けになることもあるんです。

逆に、初めてあったような人からアドバイスをもらってちゃんと聞く耳が持てますか?という話なんですよ。

もちろんカウンセリングにも学派とか流派があるので一概には言えませんがどの学派にも共通しているのは傾聴なんですね。

うつ病の治療には原則としてカウンセリングは必要なんですけれど、

その患者さんの受けるタイミングがあるのでその患者さんがうつ病の発症の原因は自分自身にあることに気付きなんとかしていきたいという気持ちになって初めてカウンセリングの効果を期待できるわけです。

今回はカウンセリングが必要なうつ病の人はどのような人か、詳しく解説いたしました。

この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
公式Twitter
公式Instagram

コメントする