夫婦関係の問題は、誰かに相談しても本質的な解決にならないケースが多く、長引くと方向性が定まらないこともありますね。
問題の内容によっては、精神的・身体的苦痛を伴う場合もあるため、修復可能であると感じている場合は、専門の夫婦カウンセリングの利用がおすすめです。
本記事では、夫婦カウンセリングの効果、受け方、メリットを紹介します。
夫婦カウンセリングとは?

夫婦の間にカウンセラーが入って、関係の修復や今後の方向性などを相談しながらアドバイスを受けることができるカウセリング方法です。
当事者だけでは、話し合いが成立しない場合も多いため、第三者が間に入ることで中立な立場の意見を取り入れることができます。また、法的な内容に関わる場合、適切な指導を受けることができます。
夫婦カウンセリングの受け方は、夫婦二人で受ける場合や一人ずつで受ける場合、対面型
またはオンライン型など形態もさまざまです。
夫婦カウンセリングで解決できる問題
夫婦カウンセリングは心理面と生活面の双方から軋轢を整理し、専門家が解決策を導きます。ここでは、以下6つを中心に支援内容を整理します。
- モラルハラスメント・家庭内暴力(DV)
- 浮気・不倫問題
- 金銭問題
- コミュニケーションの頻度
- セックスレス
- 家事・育児について
それぞれ見ていきましょう。
モラルハラスメント・家庭内暴力(DV)
モラハラやDVは、当事者同士では解決が困難な問題です。被害に遭う側は恐怖や不安から声を上げにくく、加害側は自覚がないケースも少なくありません。
カウンセラーが介入することで、支配関係を客観的に把握できます。安全な環境で気持ちを整理し、今後の対応を検討できます。ただし、身の危険がある場合は安全確保を最優先に考えましょう。
浮気・不倫問題
パートナーの浮気や不倫は、深い心の傷を残します。感情的になりやすい問題だからこそ、第三者のサポートが効果的です。
カウンセリングでは、傷ついた心のケアを優先しながら、関係修復の可能性を探ります。離婚を選ぶ場合でも、お互いが納得できる形で進められるよう支援を受けましょう。
金銭問題
お金の使い方や家計管理の方法で意見が合わないことは、夫婦関係に大きな影響を与えます。借金やギャンブル依存が絡む場合は、さらに深刻です。
カウンセラーと一緒に、家計の分担方法や支出の優先順位を整理できます。金銭感覚の違いを理解し合い、現実的な解決策を見つけることが可能です。
コミュニケーションの頻度
仕事や育児で忙しく、夫婦の会話時間が減っている家庭は多いものです。すれ違いが続くと、相手の気持ちが分からなくなってしまいます。
カウンセリングは、夫婦で話し合う時間を確保する良い機会になります。日常生活でのコミュニケーション方法についても、具体的なアドバイスを受けられるでしょう。
セックスレス
セックスレスは相談しづらい悩みですが、夫婦関係に大きく影響します。産後の変化や心理的な要因など、原因はさまざまです。
専門的な知識を持つカウンセラーなら、デリケートな問題にも適切に対応します。お互いの気持ちを理解し、無理のない形で関係改善を目指せるでしょう。
家事・育児について
家事や育児の分担で不満を抱える夫婦は少なくありません。「自分ばかり負担している」という思いが、関係悪化につながることも。
カウンセリングでは、それぞれの状況や考えを整理できます。現実的で公平な分担方法を見つけ、協力体制を築くためのサポートを受けられるでしょう。
夫婦カウンセリングのメリット
夫婦カウンセリングをこれから利用したい方は、メリットについて確認しましょう。
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第3者を挟むことでコミュニケーションの行き違いを防ぐ
夫婦二人だけの話し合いは、男女による相違、夫婦の立場による相違、個人的好みによる相違など、さまざまな意見の相違が入り組んで揉めやすくなります。
冷静になっているつもりでも、お互いに譲れないところに来ると、感情的にもなります。
ここに、第3者のカウンセラーが入ってくることで、夫婦が必要以上に興奮したり感情的になったりするのを抑える効果があります。
話を聞いてもらえるだけでスッキリする
関係が悪くなる原因は、お互いの意見や話を受け入れない状況が続くからです。お互いに譲り合う気持ちが薄れてくると、話を聞いてもらえる関係ができなくなります。
カウンセリングを受けることで、誰かに話を聞いてもらえないという不満が解消されるので安心感を得ることができます。
関連記事:カウンセリングを受ける頻度の決め方と受ける際に気を付けたいこと
今後の方向性を考えられる
関係を修復するか、または別々の生き方を選ぶのか、結論を決めるためにはカウンセリングを受けると方向性を決めやすくなります。
当事者だけでの話し合いは、途中で話が脱線することが多くなるので、方向性を見極めることに時間がかかります。客観的な視点を加えることで、方向性を見失わないで着地点を定めやすくなります。
相手への理解が深まる
専門家の指導のもとで話し合いが進むので、感情論から回避できて会話を整理しながら行うことができます。夫婦の会話がある程度成立すると、相手への理解も深まって、ここで修復へ向かうカップルもいます。
料金相場は、一回あたり1時間で、10,000〜20,000円です。さらに相談をしたい場合は、延長料金30分で3,000円〜5,000円です。
初回限定で無料カウンセリングを受付しているところもあります。キャンペーン中は割引サービスを設定している場合もあります。
以上は、一般的な目安になります。実際に利用する夫婦カウンセリングの詳細を調べてから予約してください。キャンセル料についても事前に確認しましょう。
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夫婦カウンセリングのデメリット
夫婦カウンセリングは、以下のデメリットも存在します。
- 費用や時間の負担
- 相手が非協力的な場合は難しいこともある
- 根本的な価値観の違いが浮き彫りになることも
これらを踏まえたうえで、カウンセリングを検討することが大切です。
費用や時間の負担
夫婦カウンセリングは保険が適用されないため、1回1万円前後の料金と往復の交通費、さらに1回50〜90分の面談時間を確保する必要があります。
忙しい共働き世帯では、日程調整のために有休取得や子どもの預け先を探すコストも発生しがちです。それでも問題を放置して離婚調停や弁護士費用が膨らむリスクを考えれば、必要経費と割り切る方が長期的には負担を軽減できる可能性があります。
相手が非協力的な場合は難しいこともある
「他人に家庭の問題を話したくない」「自分は悪くない」という思いから、参加を拒否されるケースも少なくありません。一人でもカウンセリングは受けられますが、夫婦の問題解決には両者の協力が理想的です。
まずは一人で受けて、その効果を実感してからパートナーを誘うという方法もあります。無理強いは逆効果になるため、相手のペースを尊重することが大切です。
根本的な価値観の違いが浮き彫りになることも
カウンセリングを通じて、修復困難な価値観の違いが明確になることがあります。お金の使い方や子育ての方針、人生の優先順位など、根本的な部分での相違が表面化する場合です。これは必ずしも悪いことではありません。
現実を直視することで、お互いが納得できる新しい関係性を築けることも。離婚を選択する場合でも、感情的にならずに建設的な話し合いができるようになるでしょう。
夫婦カウンセリングの流れ
夫婦カウンセリングでは、どのような流れで相談が進むのか解説します。
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- カウンセリングシートに記入する
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- カウンセラーが問題を分析する
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- 夫婦の目標を明確にする
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- 夫婦の解決策を定める
まずカウンセリングシートに問題となる内容について記入します。用意されたシートに記入することで、カウンセリングを受ける準備として思考の整理になります。
シートをもとにカウンセラーが問題分析をします。夫婦の相違、思考のクセ、立場や決定権の割合、問題を放置する危険性など、多角的な視点から分析をします。
次に、夫婦が目標とする将来的な方向性を相談して、具体的な解決策を決めます。
カウンセリングの回数は、1度で解決する場合もありますが、数回繰り返し相談することで、方向性が決まる場合もあります。
夫婦カウンセリングの効果的な受け方
夫婦カウンセリングを効率よく利用できるように、メリットについて事前に確認しておきましょう。
感情的にならない
話し合いで感情的になると、本来の目的から外れてしまいます。誇張した表現、相手に〜すべきという言い方、非難すること、性格や人間性を卑下すること等、夫婦カウンセリングの場では避けたい内容です。
夫婦だけでは話し合いが成立しない理由は、事実と感情が乱れて、さらに言葉の使い方を間違ってしまうことです。
感情的な会話は、目的を遠ざけることになるため、冷静な頭でカウンセリングを受けましょう。
相手の話に最後まで耳を傾ける
自分の意見が100パーセント正しいと思い込んでいると、相手の話を最後まで聞くことができなくなります。
夫婦関係に問題がある場合、お互いに寂しさや孤独感を感じていることがあります。誰かに理解されたい、認めて欲しいという気持ちが溜まっているため、相手の話を聞く耳が欠けている状態です。
カウンセリングは、自分の意見を聞いてもらえる場所ですが、カウンセラーや夫や妻の意見をお互いに聞くことも大事です。
可能な限り夫婦揃って受ける
夫婦カウンセリングは、基本的には夫婦二人で受けることが理想的です。一方的な意見では夫婦の問題の原因が明確になりづらいため、できるだけ二人の意見をもとに分析することが必要です。
どんな夫婦が理想か共有する
夫婦が理想とする将来像を共有します。最終的な目標を定めるには、現実的な問題と理想像を提示して、折り合いのつく方向性を考えることが必要です。
夫婦の考える理想が同じであれば、修復する可能性も高くなります。
夫婦カウンセリングの料金
夫婦カウンセリングの料金は提供する施設や形式で大きく異なり、一般的に1回50分で1万から2万円程度が相場とされています。
初回料金の割引や、継続しやすい回数券を用意している施設もあります。事前に公式サイトで料金体系やキャンセル規定を確認しておきましょう。
夫婦カウンセリングが向いている人
専門家のアドバイスを素直に受け入れ、自分たちの関係と向き合う意欲があれば、解決への道筋が見えやすくなります。ここでは、夫婦カウンセリングが向いている方の特徴を3つ紹介します。
- 夫婦関係を改善したいという意志がある人
- 冷静に話し合おうとする意欲がある人
- 第三者のアドバイスを柔軟に受け止められる人
詳しく見ていきましょう。
夫婦関係を改善したいという意志がある人
「このままではいけない」という危機感を持ち、関係改善を心から望んでいる人は、カウンセリングの効果を実感しやすいです。相手を変えようとするのではなく、自分も変わる覚悟があることが大切です。
夫婦の問題は一朝一夕では解決しません。時間をかけて向き合う覚悟と、諦めない気持ちが必要です。
冷静に話し合おうとする意欲がある人
感情的にならずに冷静な人は、カウンセリングを有効活用できます。相手の話を遮らず、最後まで聞く姿勢が大切です。自分の意見を伝える際も、攻撃的にならないよう心がける必要があります。
カウンセラーの助けを借りながら、建設的な話し合いを重ねることで、問題の本質が見えてきます。感情をコントロールする努力は必要ですが、その先に新しい関係性が待っているでしょう。
第三者のアドバイスを柔軟に受け止められる人
カウンセラーからの提案や指摘を素直に受け入れられる人は、成長が早いです。「自分は正しい」という思い込みを手放し、新しい視点を取り入れる柔軟性が求められます。
ときには耳の痛い指摘もあるかもしれません。しかし、それを成長の機会と捉えられる人は、確実に前進できます。プロの視点から見た客観的な意見は、夫婦関係改善の大きなヒントになるはずです。
よくあるご質問(FAQ)
ここでは、夫婦カウンセリングを検討している方から寄せられる、代表的な質問にお答えします。
- 一人でも夫婦カウンセリングを受けられる?
- 何回くらい通えば効果が出る?
- 相手が拒否した場合はどうする?
- オンラインでも受けられる?
それぞれ見ていきましょう。
一人でも夫婦カウンセリングを受けられる?
パートナーがカウンセリングに消極的な場合でも、まずは一人で相談することが可能です。カウンセラーと話す中で、自分の気持ちが整理され、相手への適切な接し方が見えてきます。
自分自身の考えや行動が変わることで、結果的にパートナーの態度に良い変化が生まれることも少なくありません。一人で悩みを抱え込まず、専門家に相談することで、問題解決の新たな糸口が見つかる場合があります。
何回くらい通えば効果が出る?
効果を実感するまでの回数は、問題の根の深さや夫婦の状況によって大きく異なるため、一概にはいえません。1回のカウンセリングで大きな気づきを得て、状況が好転するケースもあります。
まずは3~5回程度を1つの目安として続けてみるのがおすすめです。その中でカウンセラーとの相性や、カウンセリングの効果を感じられるかを見極めるのが良いでしょう。
相手が拒否した場合はどうする?
相手がカウンセリングを受ける意思がない場合、まずはご自身でカウンセリングを受けてみることが効果的です。自分の変化が相手に良い影響を与えることもあります。
無理強いは避け、カウンセリングで得た気づきを日常生活で実践してみましょう。あなたの変化を見て、パートナーも興味を持つかもしれません。
オンラインでも受けられる?
近年はビデオ通話などを利用した、オンラインカウンセリングが普及しています。住んでいる地域に関わらず、全国から専門性の高いカウンセラーを選べます。
ただし、対面に比べて相手の細かな表情や雰囲気が伝わりにくい点がデメリットです。安定した通信環境を整える必要があることと合わせて、夫婦に合った形式を選びましょう。
夫婦の問題はカウンセリングを通して良い方向性へ
夫婦関係の修復は、本人どうしでは解決に時間がかかるケースもあります。内容によってはカウンセリングを活用した方が、関係を悪化させる前に良い方向性を選ぶこともできます。
「Heart Life こころの悩み相談所」では、夫婦カウンセリングをはじめ幅広いご相談に対応しております。些細なお悩みもご遠慮なくカウンセラーにお申し付けください。
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この記事の監修者

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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