夫婦カウンセリングとは?効果を高める受け方やメリットを紹介

夫婦関係の問題は、誰かに相談しても本質的な解決にならないケースが多く、長引くと方向性が定まらないこともありますね。
問題の内容によっては、精神的・身体的苦痛を伴う場合もあるため、修復可能であると感じている場合は、専門の夫婦カウンセリングの利用がおすすめです。

本記事では、夫婦カウンセリングの効果、受け方、メリットを紹介します。

夫婦カウンセリングとは?

夫婦の間にカウンセラーが入って、関係の修復や今後の方向性などを相談しながらアドバイスを受けることができるカウセリング方法です。

当事者だけでは、話し合いが成立しない場合も多いため、第三者が間に入ることで中立な立場の意見を取り入れることができます。また、法的な内容に関わる場合、適切な指導を受けることができます。

夫婦カウンセリングの受け方は、夫婦二人で受ける場合や一人ずつで受ける場合、対面型
またはオンライン型など形態もさまざまです。

夫婦カウンセリングの目的

目的は、トラブルとなる問題を提示して解決すること、夫婦関係を修復するための改善策を話し合うことです。ただし、お互いに別々の方向性を選んだ方が良いと判断した場合は、離婚または別居などの方法を取るケースもあります。
夫婦カウンセリングの役割は、夫婦にとって良い方向性を選べるようにサポートすることです。

夫婦間のトラブル解決

夫婦カウンセリングで解決できるトラブルについて解説します。

モラルハラスメント・家庭内暴力(DV)

モラハラは、複雑で解決しづらく話し合いがこじれる傾向です。夫婦がお互いに、被害者は自分であると主張することが多く、本人同士だけでは、いつまでも口ゲンカのまま解決しないため、カウンセリングを介して話し合うことが必要です。

DVの解決法は、カウンセラーを介して夫婦の支配関係から見直すことが必要です。
全国の配偶者暴力相談支援センター「DV相談プラス」に寄せられた相談件数をみると、2020年度で19万0,030件。前年度比で約1.6倍に増加しています。
女性の約4人に1人がDVの被害経験があり、女性の被害経験者の割合が高くなっています。

  • モラハラスメント:言葉の暴力や態度などによって精神的な苦痛を伴う問題
  • 家庭内暴力(DV):家庭内で起こる家族に対する暴力的な行為や言動の問題

浮気・不倫問題

法律上、不倫は不貞行為とみなされ、配偶者以外との継続的な肉体関係は、民法で定める離婚理由の1つとして扱われます。不倫相手が特定できる場合は、不倫相手からも慰謝料を請求することが可能です。浮気・不倫による夫婦間の問題の場合、不倫された側は、感情的で冷静に話をすることが難しいケースが多いため、カウンセラーのアドバイスによって夫婦関係の方向性を考えることができます。

金銭問題

お金の使い方について夫婦間で納得がいかない場合に不満が溜まって揉めるケースがあります。家族のお金という曖昧な定義であったり、お金に対する価値観の違いによってトラブルになりやすい傾向です。
夫婦の金銭問題は、毎日の家計管理の問題から借金問題まで多岐に渡るため、法律による判断も含めてカウンセラーのアドバイスが必要です。
例えば、夫婦のどちらかが借金した場合、民法761条に従って連帯して債務責任を負うようになります。

夫婦の関係改善

夫婦関係の問題については、精神的ダメージの深い問題から日常の些細なスレ違いの問題までさまざまです。

そこでカウンセリングに相談をすることで、客観的な要素も取り入れることができるので、二人の絆をもう一度再確認して関係が改善されるケースもあります。

コミュニケーションの頻度

仕事が忙しくて夫婦が共に過ごす時間が少ないと、会話する機会も限られて、コミュニケーション不足が生じやすくなります。話し合いたくても時間を作ることができない場合、夫婦カウンセリングに申し込むことで、夫婦で話し合う時間を設けることができます。

スキンシップ

セックスレスの問題はカウンセリングを受ける敷居が高いため、敬遠されがちな問題です。ただし、自己流では解決しにくい問題であるため、臨床心理士の資格を持ったカウンセラーの診断を受けて、専門的なプロセスを踏んだ方が解決しやすくなる場合もあります。
夫婦で普段スキンシップが少なくなっている原因には、性機能の問題やホルモンバランスの変化や心理的なこと要素が含まれていることもあり、カウンセラーの適切な指導を受けることができます。

家事・育児について

家事や育児については、夫婦によって意見が異なるケースも多く、夫婦の意見が異なると家庭不和が生じやすくなります。

女性の出産後の継続就業は依然として困難な状況で、家事や育児に専念するため自発的に仕事をやめる女性も多いです。
仕事と育児の両立や体力的に困難であること、職場で両立できるような支援がなかったなどが、退職の主な理由です。

男性の育児休業取得や育児への関わりは低調ながらも、徐々にその意識は高くなりつつあり、夫の育児や家事の時間が長いほど、第2子の出産割合も増えています。
夫婦カウンセリングでは、家事や育児への負担を夫婦二人で分担できるようにアドバイスを受けることができます。

夫婦カウンセリングのメリット

夫婦カウンセリングをこれから利用したい方は、メリットについて確認しましょう。

第3者を挟むことでコミュニケーションの行き違いを防ぐ

夫婦二人だけの話し合いは、男女による相違、夫婦の立場による相違、個人的好みによる相違など、さまざまな意見の相違が入り組んで揉めやすくなります。
冷静になっているつもりでも、お互いに譲れないところに来ると、感情的にもなります。
ここに、第3者のカウンセラーが入ってくることで、夫婦が必要以上に興奮したり感情的になったりするのを抑える効果があります。

話を聞いてもらえるだけでスッキリする

関係が悪くなる原因は、お互いの意見や話を受け入れない状況が続くからです。お互いに譲り合う気持ちが薄れてくると、話を聞いてもらえる関係ができなくなります。
カウンセリングを受けることで、誰かに話を聞いてもらえないという不満が解消されるので安心感を得ることができます

今後の方向性を考えられる

関係を修復するか、または別々の生き方を選ぶのか、結論を決めるためにはカウンセリングを受けると方向性を決めやすくなります。
当事者だけでの話し合いは、途中で話が脱線することが多くなるので、方向性を見極めることに時間がかかります。客観的な視点を加えることで、方向性を見失わないで着地点を定めやすくなります

相手への理解が深まる

専門家の指導のもとで話し合いが進むので、感情論から回避できて会話を整理しながら行うことができます。夫婦の会話がある程度成立すると、相手への理解も深まって、ここで修復へ向かうカップルもいます。

夫婦カウンセリングの料金相場

料金相場は、一回あたり1時間で、10,000〜20,000円です。さらに相談をしたい場合は、延長料金30分で3,000円〜5,000円です。
初回限定で無料カウンセリングを受付しているところもあります。キャンペーン中は割引サービスを設定している場合もあります。

以上は、一般的な目安になります。実際に利用する夫婦カウンセリングの詳細を調べてから予約してください。キャンセル料についても事前に確認しましょう。

夫婦カウンセリングの流れ

夫婦カウンセリングでは、どのような流れで相談が進むのか解説します。

      • カウンセリングシートに記入する

      • カウンセラーが問題を分析する

      • 夫婦の目標を明確にする

      • 夫婦の解決策を定める

    まずカウンセリングシートに問題となる内容について記入します。用意されたシートに記入することで、カウンセリングを受ける準備として思考の整理になります。
    シートをもとにカウンセラーが問題分析をします。夫婦の相違、思考のクセ、立場や決定権の割合、問題を放置する危険性など、多角的な視点から分析をします。
    次に、夫婦が目標とする将来的な方向性を相談して、具体的な解決策を決めます。
    カウンセリングの回数は、1度で解決する場合もありますが、数回繰り返し相談することで、方向性が決まる場合もあります。

    夫婦カウンセリングの効果的な受け方

    夫婦カウンセリングを効率よく利用できるように、メリットについて事前に確認しておきましょう。

    感情的にならない

    話し合いで感情的になると、本来の目的から外れてしまいます。誇張した表現、相手に〜すべきという言い方、非難すること、性格や人間性を卑下すること等、夫婦カウンセリングの場では避けたい内容です。
    夫婦だけでは話し合いが成立しない理由は、事実と感情が乱れて、さらに言葉の使い方を間違ってしまうことです。
    感情的な会話は、目的を遠ざけることになるため、冷静な頭でカウンセリングを受けましょう

    相手の話に最後まで耳を傾ける

    自分の意見が100パーセント正しいと思い込んでいると、相手の話を最後まで聞くことができなくなります。
    夫婦関係に問題がある場合、お互いに寂しさや孤独感を感じていることがあります。誰かに理解されたい、認めて欲しいという気持ちが溜まっているため、相手の話を聞く耳が欠けている状態です。
    カウンセリングは、自分の意見を聞いてもらえる場所ですが、カウンセラーや夫や妻の意見をお互いに聞くことも大事です。

    可能な限り夫婦揃って受ける

    夫婦カウンセリングは、基本的には夫婦二人で受けることが理想的です。一方的な意見では夫婦の問題の原因が明確になりづらいため、できるだけ二人の意見をもとに分析することが必要です。

    どんな夫婦が理想か共有する

    夫婦が理想とする将来像を共有します。最終的な目標を定めるには、現実的な問題と理想像を提示して、折り合いのつく方向性を考えることが必要です。
    夫婦の考える理想が同じであれば、修復する可能性も高くなります。

    よくある相談例

    夫婦カウンセリングでよくある相談例について紹介します。

    一方の浮気問題について

    Q.:自分の不倫発覚が原因で夫婦でもめています。夫婦だけでは話し合いができていません。相談できますか?
    A:不倫による夫婦の修復改善についての事例もたくさんあります。認知行動療法により夫婦間の課題に焦点を当てて解決策を見つけるお手伝いをします。通常のカウンセリングでは1対1で行いますが、このカウンセリングではカウンセラーとご相談者(通常2名)の間で実施されます。

     

    価値観の相違について

    Q:自分は夫婦関係を修復したいのですが、妻との価値観がズレていて喧嘩が絶えません。アドバイスいただくことは可能でしょうか?
    A:まず個別にヒアリングとカウンセリングをしてから、夫婦同席で対応することも可能です。

    コミュニケーションの不和について

    Q:仕事や育児で夫婦が話し合う機会がなく、相手の気持ちがつかめません。仲介して相談にのって頂けますか?
    A:夫婦カウンセリングは、夫婦お互いのコミュニケーションを深める場所として利用できます。まずは、お互いの意見や気持ちを確かめることから初めても大丈夫です。

    セックスレスについて

    Q:産後、妻とセックスできなくなっています。妻からの誘いに応じることができず悩んでいます。相談可能ですか?
    A:セックスレスでのカウンセリングも対応しています。まずは、ご本人からヒアリングとカウンセリングを行って奥様の意見を聞いてから、二人で話し合いを進めていきましょう。

    夫婦の問題はカウンセリングを通して良い方向性へ

    夫婦関係の修復は、本人どうしでは解決に時間がかかるケースもあります。内容によってはカウンセリングを活用した方が、関係を悪化させる前に良い方向性を選ぶこともできます。

    「Heart Life こころの悩み相談所」では、夫婦カウンセリングをはじめ幅広いご相談に対応しております。些細なお悩みもご遠慮なくカウンセラーにお申し付けください。
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    この記事の監修者

    丸田 英世

    Heart Life代表・室長

    <資格>

    公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

    <所属学会>

    日本臨床心理士会

    <略歴>

    横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

    <公式SNS>

    YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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    公式Instagram

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