ADHDの特徴や特性とは?カウンセリングの役割も解説

「ADHDにおけるカウンセリングの役割は?」

「ADHDの原因や治療方法を知りたい」

「そもそもADHDとは?」

情報の移り変わりが激しい今、あらゆる学問も加速度的に前進しており、それは精神医学も同じことです。

本記事では、昨今知名度が高まっているADHDについて詳しく解説していきます。

ADHDではないかと考えている方、心の悩みを抱える方は、ぜひ最後までご覧ください。

ADHDとは?

ADHDとは、Attention Deficit Hyperactivity Disorder(注意欠陥・多動性障害)の略で、主に子ども期に発症する神経発達障害(旧・発達障害)の一つです。

注意力や集中力の欠如、多動性、衝動性、短期記憶の障害などの症状が見られます。

原因はまだ完全には解明されておらず、遺伝的な要因や脳内の神経伝達物質の異常などが原因と考えられています。

診断は主に病院やクリニックで行われ、薬物療法や心理療法、行動療法などが用いられます。

適切な治療がなされることで、社会適応能力の向上、学習能力の改善などが期待できます。

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ASDとの違い

ADHDとASDは、ともに神経発達障害の一つですが、症状面で異なる点がいくつかあります。

ADHDは不注意、多動性、衝動性という3つの特性があります。

一方、ASDには「社会的コミュニケーションおよび対人相互反応における持続的な欠陥」と「行動、興味、または活動の限定された反復的な様式」という特性があります。

ADHDは、コンセントレーションと記憶の問題、計画性や時間管理の問題などがありますが、ASDの場合は、感覚過敏症、不安、社会コミュニケーションの困難、および特定の関心事の異常に深い傾向が見られます。

なお、2つの障害が同じ人に重複して存在する場合も多々あります。

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ADHDの特徴

ここからは、ADHDの特徴をより深掘りしていきます。

具体的には以下の3つがADHDの特徴として挙げられます。

  • 不注意
  • 衝動性
  • 多動性

それぞれ解説していきます。

また、昨今では俗に「大人の注意欠陥多動性障害」と呼ばれるものも存在します。

医学的な名称ではありませんが、ここでも軽く解説します。

不注意

ADHDの不注意には、気が散りやすく長時間集中できない、うっかりミスが多い、過度な忘れっぽさ、油断しやすく失敗が多い、などが含まれます。

不注意な人は、何か面白いことや刺激的なことがあれば、その他のことに関心を持たず、自分のやる気をすばやく失ってしまうことがよくあります。

不注意は、社会的な成功にとって非常に重要である注意力を阻害します。

衝動性

ADHDのもう一つの特徴である「衝動性」とは、思いついたことを直ちに行動に移す傾向や、自制ができないことを指します。

具体的には、周囲の人の話に割り込んで話し始める、待ち合わせの時間に遅れたり待たずに先に行動したりする、自分の欲求に忠実になりすぎて他人や社会ルールを守れないなどが挙げられます。

衝動的な行動は周囲の人に迷惑をかけることも多く、さらには危険な行動につながる場合もあるため、ADHDの人は衝動性の管理に苦労することがあります。

治療では認知行動療法や薬物治療が用いられます。

多動性

ADHDの多動性は、落ち着きがなく、座っていることができずに普段よりも活発に動いてしまうことを指します。

静かな状況でも体が勝手に動いてしまったり、場所をうろついたり、手や足をバタバタさせたりする傾向があります。

また、頻繁に人や物を触ったり、しゃべりかけたりすることも多いです。

大人の注意欠陥多動性障害

大人のADHDは、子どもの頃から症状があった人が、大人になってもその症状が続く状態を指す言葉で、実際の診断名ではありません。

注意欠如、多動性、衝動性といった症状があるため、生活や仕事に支障をきたします。

大人のADHDを診断するためには、症状の詳しい聞き取りやADHDを診断するための心理検査を受けることが必要です。

治療方法としては、薬物療法や認知行動療法があり、患者の症状や生活状況に合わせて治療法が選ばれます。

周りの理解や協力も大切で、適切なサポートを受けながら過ごすことが大事です。

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ADHDの原因

現在、ADHDの原因は完全には解明されていませんが、脳の構造や神経伝達物質の働きによって引き起こされるのではないかと考えられています。

とくに、ドーパミンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質のバランスが影響していると考えられています。

また、遺伝的な要因も関与しているとされ、親がADHDの場合、子どもにもADHDが発症する可能性が高くなるといわれています。

生活環境や育児環境、母親の妊娠時の状態なども影響する可能性があるとされていますが、詳しいメカニズムは今後の研究が求められています。

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ADHDにおけるカウンセリングの役割

ADHDにおけるカウンセリングは、薬物治療と合わせて総合的なケアを行うことで、症状の改善や社会生活への適応を促すことが目的です。

具体的には、自己理解を深めるための認知行動療法や、時間管理やタスク実行のスキルを身につけるためのトレーニング、人間関係の問題に対処するための対人スキルトレーニング、ストレスマネジメントなどがあります。

また、家族や職場での支援についてもアドバイスや情報提供を行うことが重要です。

カウンセリングによって、ADHDの症状を抱える人が自己管理能力を高め、社会参加をするための力を身につけることにつながります。

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ADHDの治療方法

原則として、ADHDは先天的かつ不治の障害です。

そのため、治療行為は「完治」を目指すものではなく「症状の抑制」を目指して行われます。

ADHDにおけるカウンセリングの役割がわかったところで、ここからはより具体的にADHDの治療方法を解説していきます。

多く行われるのは以下の3つです。

  • 薬物療法
  • 環境調整
  • スキルトレーニング

それぞれ見ていきましょう。

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薬物療法

ADHDの薬物療法は、中枢神経系に作用して症状を改善する薬物を用いた治療方法です。

主に使用されるのは、メチルフェニデート(コンサータなど)やアトモキセチン(ストラテラなど)などです。

これらの薬は、ADHDの特性を抑制しながら注意力を増加させる働きがあり、ADHDの主な症状である注意欠如・多動性・衝動性の改善に効果を発揮します。

しかし、副作用もあり、長期的な使用による依存症や心臓への負担など、注意が必要です。

治療には医師の処方と指導のもとで、個々の症状に合わせた適切な量の使用が必要です。

環境調整

ADHDの治療方法の一つに、環境調整があります。

この方法は、生活環境を整えることで、患者の症状を改善することを目的としています。

具体的な環境調整には、定期的な運動や音楽療法、ストレスを軽減するためのマインドフルネス瞑想、食生活指導などがあります。

また、学校や職場での環境調整としては、周囲の人に協力を仰ぐことで、集中力を維持しやすい環境を作ることがあります。

環境調整は、薬物療法やカウンセリングと併用することで、より効果的な治療が期待できます。

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スキルトレーニング

ADHDの治療方法の一つに「スキルトレーニング」があります。

これは、ADHDの症状が原因で生じる参加困難や、社会的に適切な行動が取れないといった問題を解決するため、社交スキルや時間管理、自己コントロール能力など、患者が必要とするスキルをトレーニングする方法です。

たとえば、時間管理の練習や、ストレス管理の方法、コミュニケーション練習などがあります。

スキルトレーニングは、薬物療法や心理療法と併用され、ADHD患者が日常生活で容易に機能できることを目指します。

ADHD治療は必要に応じてカウンセリングと薬物治療を

ADHDは、脳の発達に関する異常が原因であるため、治療方法には薬物治療が用いられます。

しかし、単に薬を飲むだけで治療が完了するわけではありません。

そもそもADHDは完治しない障害であり、一生涯付き合っていかなくてはなりません。

そのため、必要に応じて薬物やカウンセリング、スキルトレーニングによって、生活に現れる弊害を取り除いていく作業になります。

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この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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