うつ病の再発を防ぐために知っておきたい重要なポイントとは

うつ病は、治療を受けて回復した後でも再発する可能性があります。再発を防ぐためには、原因や兆候を理解し、適切な対策を打つことが重要です。しかし、再発を防ぐために何をすればよいのか迷う方も多いでしょう。

この記事では、うつ病の原因や再発を防ぐための対策、サインを見逃さないためのポイントなどを解説します。

うつ病を患ったことのある方はぜひ、心の健康を保つための参考にしてください。

うつ病の再発とは

うつ病の再発とは、治療を経て改善した後に、再び同じ症状が現れることです。再発は、うつ病の治療過程で一般的であり、多くの患者が経験します。

再発を防ぐためには、早期の兆候を見逃さず、適切な治療やサポートの継続が重要です。また、再発のリスクを理解し、日常生活でのストレス管理や健康的な生活習慣の維持が大切です。

うつ病の再発予防が重要な理由

うつ病は回復しても再び症状が現れることが多く、予防が大切です。

ここでは、うつ病の再発がもたらす健康への影響やリスクを解説します。ぜひ、再発予防の参考にしてください。

再発の影響とそのリスク

うつ病の再発は、個人の生活にさまざまな影響を及ぼします。再発すると、仕事や学業に支障をきたし、社会的な人間関係も悪化することがあります。

また、再発を繰り返すことで、治療の難易度が上がり、回復するまでの時間が長くなることも。再発を防ぐためには、早めに兆候を察知し、継続的な治療とサポートが欠かせません。

長期的な健康への影響

再発を繰り返すことで、慢性的なうつ状態に陥るリスクが高まり、身体的な健康にも悪影響を及ぼします。たとえば、免疫力の低下や心血管系の疾患リスクがあります。

さらに、長期にわたる薬物治療が必要になるケースも。長期間の治療は、経済的な負担も大きくなるため、健康以外への影響も考慮が必要です。

うつ病再発のサインを見逃さないための3つのポイント

うつ病の症状悪化を防ぐためには、再発のサインを早くキャッチすることが重要です。ここでは、以下の気にかけるべき3つのポイントを詳しく解説します。

  • 初期症状
  • 自己観察
  • 周りの人が気づくサイン

再発を未然に防ぐための参考にしてください。

初期症状

再発の初期症状は、自分では日常生活の中で見逃しやすいものです。兆候には、以前と似たような気分の落ち込みや、興味や喜びの喪失があげられます。

また、疲労感や不眠、食欲の変化なども軽視できません。初期症状を見逃さないために、日々の体調や気分の変化に敏感になりましょう。

自己観察

自身の調子や行動の変化を日常的に観察したり、日記に記録したりすることで、再発の兆候を早期に発見できます。たとえば、気分の変化を記録するアプリを利用してもよいでしょう。

自己観察を通じて、気分の低下やストレスの増加に気づいた場合は、早めに専門家への相談が大切です。

周りの人が気づくサイン

家族や友人、職場の同僚など日常的に接する人々が気づくサインには、本人では気づけない繊細な変化があります。たとえば、以前と比べて表情や態度が変わった、話し方が遅くなった、または無口になったなどがあげられます。

周りの人が変化に気づいた場合、本人に優しく声をかけるサポートが重要です。本人も、周囲のアドバイスを素直に受け入れることで、うつ病の悪化を防げるでしょう。

うつ病が再発する4つの原因

うつ病の再発の要因はさまざまです。ここでは、うつ病が再発する4つのおもな原因を詳しく解説します。

  • 自己判断による通院の中断
  • 再発への理解不足
  • 環境の変化やストレス
  • 身体的な疾患

それぞれ見ていきましょう。

自己判断による通院の中断

治療がうまく進んでいる場合でも、医師の指示なしに治療を中断すると症状が再発するリスクが高まります。

たとえば、医師が処方した薬を途中で勝手にやめてしまうと、脳内のバランスが乱れ、症状が再発する可能性も。定期的な通院と医師の指導に従うことが、再発を防ぐために重要です。

再発への理解不足

再発への理解を深めることで、自身で早期に兆候を察知し、適切な対応を取れます。再発の兆候や要因の情報を収集し、自身の状態を客観的に観察する習慣を持ちましょう。

たとえば、うつ病に関する書籍や信頼できるインターネットの情報源を活用し、予防策を学ぶことが大切です。また、定期的に心理カウンセリングを受けることで、専門家のアドバイスを得られるため、積極的に活用しましょう。

環境の変化やストレス

転職や引っ越し、家族の変化などの大きなライフイベントは、心理的な負担を増大させ再発の要因となります。これらの変化が短期間で起こると、ストレスが急激に高まるからです

また、日常生活における慢性的なストレスも無視できない要因です。職場でのプレッシャー、人間関係のトラブル、経済的な不安などが積み重なることで、心身に大きな負担がかかります。これらのストレスが続くことで、うつ病の再発を引き起こすため注意が必要です。

身体的な疾患

慢性的な病気や痛みを抱えている場合、身体的なストレスが心の健康に悪影響を及ぼし、再発を引き起こすリスクが高まります。

健康を維持するために、定期的な健康診断や適切な治療を受けることが重要です。身体と心の両方の健康を守ることで、うつ病の再発を予防できます。

うつ病が再発しやすい人とは?3つの特徴

うつ病が再発しやすい人には共通する特徴があります。ここでは、3つの特徴を紹介します。

  • ストレスに対処する方法が限られている
  • 過去にうつ病の経験がある
  • 家族にうつ病の歴史がある

それぞれ見ていきましょう。

ストレスに対処する方法が限られている

日常生活で感じるストレスに対して、適切に対処できるスキルや方法を知らない人は、うつ病の再発を起こしがちです。なぜなら、ストレスを感じたときに、そのまま抱え込んでしまうからです。

また、人に頼ることが苦手で誰かに相談できない人も該当します。日頃からストレスを1人で抱え込みがちで、心の負担が増えます。

過去にうつ病の経験がある

うつ病の経験がある場合、脳内の神経伝達物質のバランスが乱れやすい状態です。このバランスが再び乱れると、うつ病が再発する可能性が高まります。

また、ストレスやプレッシャーに対する耐性が低下している人も要注意です。一度うつ病を発症すると、ストレスに対する感受性が高まり、再び同じような状況に直面した際、過剰に反応してしまうのです。

さらに、ネガティブな思考パターンや行動習慣に寄ってしまいがちで、自己否定的な考え方が習慣化されてしまいます。これらの思考や行動パターンが改善されない限り、再発のリスクが高まります。

家族にうつ病の歴史がある

家族にうつ病の経験がある人がいると、自身も再発しやすい傾向があります。これは、遺伝的要因と家庭環境が大きく影響しているためです。

遺伝子の中には、脳内の神経伝達物質のバランスを調整する役割を持つものがあり、これがうつ病の発症に関与していると考えられています。これらの遺伝子が影響を及ぼし、再発リスクを高めるのです。

また、うつ病を患った家族と一緒に生活すると、ストレスフルな環境やネガティブな思考パターンが身につきやすくなります。

うつ病の再発を防ぐための5つの対策

うつ病の再発を防ぐためには、日常的に自身でできる予防策から専門家のサポートまでさまざまです。ここでは、以下の5つの対策を紹介します。

  • 日常生活での予防策
  • 心理カウンセリングの活用
  • 治療の継続
  • ストレス管理
  • リラックスタイムの取り方

それぞれ見ていきましょう。

日常生活での予防策

日々できる対策は、規則正しい生活リズムを刻むことです。毎日同じ時間に起床し、適度な運動により心身のバランスが整います。

また、バランスの取れた食事を心がけ、栄養を摂ることも大切です。さらに、十分な睡眠を確保し、疲労を溜め込まないようにすると再発リスクを減らせます。

心理カウンセリングの活用

心理カウンセリングを通じると、自分の感情や思考が整理されるため、ストレスの原因を特定できます。また、医師のサポートにより、適切な対処法を学び、問題解決のスキルアップが期待できるでしょう。

たとえば、認知行動療法(CBT)などのアプローチを採り入れることで、ネガティブな思考パターンを改善し、再発予防が可能です。

治療の継続

治療がうまく進んでいると感じても、医師の指示に従い、処方された薬を欠かさず服用し続けることが重要です。自己判断で治療を中断せず、定期的な通院を怠らないようにしましょう。

また、治療の進行状況を医師と共有し、必要に応じた治療計画の調整も大切です。これにより、長期的に心の安定を維持でき、再発のリスクを減らせます。

ストレス管理

ストレスの原因を特定し、対処する方法を見つけることが重要です。たとえば、仕事や人間関係のストレスを軽減するために、時間管理やコミュニケーションスキルを向上させると効果的です。

また、リラクゼーション法や趣味を楽しむことで、ストレスを発散しやすくなります。ストレス管理の徹底により、心の安定を保てるでしょう。

リラックスタイムの取り方

日常生活の中で、意識的にリラックスできる時間を確保すると心身の緊張が解消します。たとえば、深呼吸や瞑想、ヨガなどのリラクゼーション法を採り入れることで、リラックス効果を高められます。

また、趣味や楽しみを見つけて、没頭することも効果的です。負担にならない程度に自分の好きなことをする時間を採り入れることで、心がリフレッシュされ再発を防げるでしょう。

復職後にうつ病が再発したときにやるべきこと3選

復職後にうつ病が再発した場合、放置すると症状が悪化し、再び長期の休職が必要になる可能性があります。ここでは、再発時に早急に取り組むべき具体的な対策を解説します。

  • 職場でストレス管理する
  • 自分でできるストレスチェックを行う
  • 仕事ができないときの保障制度を確認する

仕事をしている方は、ぜひ参考にしてください。

職場でストレス管理する

仕事の負担を軽減するために上司や同僚とコミュニケーションを取り、業務量や勤務時間の調整が重要です。

また、職場でのリラックス方法を見つけることも効果的です。たとえば、短時間の休憩を取る、業務の合間にストレッチをするなどの方法があります。自分が過ごしやすい職場環境や休憩パターンを作ることで、再発を防ぎやすくなります。

自分でできるストレスチェックを行う

気分や体調の変化を日々記録することで、自身のストレスレベルが把握できます。また、ストレスを感じたときには、その原因を特定し、対処法を考えることが大切です。ストレスレベルに応じて、解消するリラックス法が確立されるとなおよいでしょう。

また、ストレスチェックリストを使用して、手軽に自身の状態をチェックする方法もおすすめです。自己管理を徹底すると、再発リスクを減らせるでしょう。

仕事ができないときの保障制度を確認する

再発により出社できなくなった場合、病気休暇や傷病手当金、労災保険などの制度を事前に理解しておくことをおすすめします。これにより、必要なときに適切なサポートを受けられます。

たとえば、労働基準監督署や健康保険組合に問い合わせる、会社の人事部に相談するなどの方法を試しましょう。また、保障制度の活用により、経済的な不安を軽減し、治療への専念が可能です。

専門家に相談するタイミング

適切なタイミングで医師に相談することで、うつ病の悪化を防げます。再発の兆候を見逃さないように早めに対処しましょう。ここでは、相談するべき具体的なタイミングを解説します。

周囲のサポートが必要なとき

周囲から心配の声があがったときは、早急な専門家への相談が重要です。具体的には、家族や友人、職場の同僚から「最近元気がない」「以前と比べて様子が違う」と指摘されたときがあげられます。

また、自分自身で不安や孤独を強く感じるようになった場合も、専門家の助けが必要です。早めに相談することで、適切なサポートを受け、再発を防げるでしょう。

以前と同じ症状が現れたとき

以前に経験したうつ病の症状が再び現れたときは、専門家に相談するタイミングです。たとえば、気分の落ち込みや興味・喜びの喪失、不眠や食欲の変化などが再発の兆候です。

これらの症状が現れた場合、自己判断で放置せず、早急に専門家に相談しましょう。症状が軽いうちに対処すると再発の深刻化を防ぎ、早期の回復を目指せます。

うつ病は再発の兆候を感じたら専門家に相談しましょう

うつ病の再発は、兆候を見逃さず早めの対処により、症状の悪化を防げます。自分だけで悩まず、心の専門家であるカウンセラーに相談し、適切なサポートを受けましょう。

ハートライフ心の悩み相談所では、臨床心理士や公認心理師があなたの心の状態を丁寧にお聞きし、安心して過ごせるようサポートします。再発のリスクを感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。

東京のカウンセリングならハートライフこころの悩み相談所へお越しください。専門家のサポートを受け、再発を防ぎ心の健康を保ちましょう。

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この記事の監修者

丸田 英世

Heart Life代表・室長

<資格>

公認心理師[国家資格](No.7710) 臨床心理士(No.31071)

<所属学会>

日本臨床心理士会

<略歴>

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。

<公式SNS>

YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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