仕事や人間関係のストレスで心が疲れ切り、理由もなく気分が沈んでしまうことは、誰にでもあるものです。
早く元気にならなければと焦るほど、かえって自分を責めてしまい、さらに落ち込む悪循環に陥ってしまいます。
本記事では、そのようなつらい状況下で「やってはいけないこと」と、心を軽くするための4つの対処法を解説します。
ぜひ最後までお読みいただき、ご自身を大切に労わるための参考にしてください。
落ち込んだ時にやってはいけないこと

気分が落ち込んでいる時は、早く元気になろうと焦るあまり、よかれと思って取った行動が回復を遅らせてしまうことがあります。
心のエネルギーが少ない時だからこそ、自分をさらに追い詰めるような行動は避けるべきです。
ここでは、とくに無意識にしてしまいがちな4つのNG行動を解説します。
- 自己批判を繰り返す
- SNSで他人と比較する
- 暴飲暴食で現実逃避する
- 落ち込みを無理になくそうとする
それぞれ見ていきましょう。
自己批判を繰り返す
落ち込んでいる時に「自分はダメだ」「何をやってもうまくいかない」と責め続けると、気分はさらに悪化します。
自己批判は一見、反省や改善につながるように思えますが、実際には負のスパイラルを生み出すだけです。
失敗を振り返ることは大切ですが、自分の人格や価値を否定する必要はありません。
ミスをした自分も、今日一日を乗り切った自分も、同じ大切なあなたです。
批判ではなく、優しい目で自分を見つめる練習から始めてみましょう。
SNSで他人と比較する
InstagramやX(旧:Twitter)を見ていると、友人や知人の幸せそうな投稿が目に入ってきます。
落ち込んでいる時にこうした投稿を見ると、「みんなは充実しているのに自分だけ…」という気持ちになりがちです。
しかしSNSに投稿されるのは、その人の生活のごく一部、それもよい部分だけを切り取ったものです。
誰もが悩みを抱えていますが、それをSNSで公開する人は少ないでしょう。
比較しても、ご自身の気持ちが楽になることは少ないかもしれません。
SNSを見て辛くなるなら、一時的にアプリを削除したり、通知をオフにしたりすることも自分を守る大切な選択です。
暴飲暴食で現実逃避する
ストレスを感じると、お酒を飲んだりお菓子を大量に食べたりして、気を紛らわせたくなることがあります。
一時的には気分が楽になったように感じますが、実はこれも避けるべき行動の1つです。
アルコールは脳の働きを鈍らせ、判断力を低下させます。
また、翌日の二日酔いや罪悪感で、かえって気分が沈むことも少なくありません。
暴飲暴食も同様で、血糖値の急激な変化が感情を不安定にさせる原因となります。
つらい気持ちから逃げたくなる気持ちは分かりますが、体を傷つけることで心の問題は解決しません。
食事は適量を心がけ、アルコールは控えめにすることが、心身の健康を保つ秘訣です。
落ち込みを無理になくそうとする
「落ち込んではいけない」「早く元気にならなければ」と焦る気持ちは、回復を遅らせる原因になります。
感情を抑え込もうとすればするほど、その感情は強くなってしまうものです。
人間には喜怒哀楽があり、落ち込むことも自然な感情の1つです。
無理に明るく振る舞ったり、ポジティブ思考を強制したりする必要はありません。
むしろ、今の気持ちをそのまま受け入れることが大切です。
落ち込みは、あなたの心が「休息が必要」「何かを見直す時期」というメッセージかもしれません。
その声に耳を傾け、自分のペースで回復することを優先しましょう。
精神的に落ち込んだ時の4つの対処法

落ち込んだ時にやってはいけないことを理解したら、次は効果的な対処法を身につけることが大切です。
ここでは、以下4つの対処法を紹介します。
- 落ち込む原因から意識的に離れる
- 感情を言葉にして外に出す
- 落ち込んでいる自分をそのまま認める
- 落ち込みと上手に付き合う姿勢を持つ
これらの方法を組み合わせることで、心の負担を軽くできるでしょう。
>>関連動画「【落ち込んだ時はコレをやれ!】気持ちの浮き沈みを改善する方法」はこちら
落ち込む原因から意識的に離れる
気分が落ち込む原因となる情報や環境から、意識的に距離を置くことは自己防衛の第一歩です。
たとえば、ネガティブなニュースを見て気分が沈む人は、テレビ番組やサイトを見る時間を制限してみましょう。
とくに注意が必要なのはSNSです。
無意識にスクロールしているうちに、気分を害する投稿に出会うことがあります。
フォローを整理したり、ミュート機能を活用したりして、自分の心を守る環境を作ることが大切です。
落ち込んでいるときは、ネガティブな情報に注意が向きやすくなりがちです。
一時的にでも負の情報をシャットアウトする勇気を持ってください。
感情を言葉にして外に出す
心の中にたまった感情は、言葉にすることで整理されていきます。
信頼できる友人や家族に話を聞いてもらったり、日記に書き出したりすることで、気持ちが楽になるはずです。
話すことが苦手な人は、紙に書き出すことから始めてみましょう。
「今、私は〇〇と感じている」と素直に書くだけでも効果があります。
感情を言語化することで、漠然とした不安が具体的な課題として見えてくることもあるのです。
大切なのは、感情を溜め込まずに定期的に外に出すことです。
週に一度は自分の気持ちと向き合う時間を作り、心の整理整頓を習慣にしていきましょう。
落ち込んでいる自分をそのまま認める
「落ち込んでいる自分はダメだ」と否定するのではなく、今の状態をそのまま受け入れることが回復への近道です。
落ち込むことは人間として当たり前の反応であり、決して恥ずかしいことではありません。
「今は落ち込みたい時期なんだ」「疲れているから休みたいんだ」と、自分の心の声を認めてあげましょう。
無理に前向きになろうとせず、ありのままの自分を受け入れることで、心は自然と軽くなっていきます。
自分を許し、優しく接することは、他人に優しくすることと同じくらい大切です。
落ち込みと上手に付き合う姿勢を持つ
落ち込みをゼロにすることは不可能です。
生きていれば楽しいこともつらいこともあり、感情の波は必ず訪れます。
大切なのは、落ち込みと戦うのではなく、上手に付き合っていく姿勢を身につけることです。
これまで紹介した3つの方法(原因から離れる、感情を出す、自分を認める)を日常的に実践することが、落ち込みとの付き合い方です。
うまくできない日があっても構いません。
少しずつ、自分のペースで取り入れていけばよいのです。
落ち込みは、あなたの心が何かを伝えようとしているサインかもしれません。
その声に耳を傾け、自分を大切にしながら、一歩ずつ前に進んでいきましょう。
まとめ:落ち込んだ時はあなたの心が発するメッセージを大切に

落ち込みは誰にでも訪れる自然な感情であり、それ自体は決して悪いことではありません。肝心なのは、その感情と向き合い、適切に対処していくことです。
もし1人で抱え込むことが辛くなったら、専門家のサポートを受けることも選択肢の1つです。
Heart Lifeでは、公認心理師・臨床心理士の資格を持つカウンセラーが、あなたの悩みに寄り添いながら、一緒に解決策を考えていきます。
対面でのカウンセリングはもちろん、オンラインでの相談も可能です。
心の重荷を少しでも軽くしたいとお考えの方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの心が本当に求めているものを、一緒に見つけましょう。
この記事の監修者

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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