何かしら自分自身に悩みがあったり、うつ病や適応障害などこころの病気の治療のためにカウンセリングサービスを利用してみたはいいものの、2~3回受けてみてカウンセラーと相性が合わないんじゃないか?と感じることがあります。
でもカウンセリングは受けたいし、カウンセリングが必要だとも認識していて、どう対処していいかわからない場合があると思います。
実際、カウンセラーを変えたほうがいいのか、それとも正直にカウンセラーに話をしてみたほうがいいのか、迷うことも少なくありません。
そこで今日は、カウンセリングが合わないと感じるとき、つまり「カウンセラーと合わない」と感じてしまう原因とその対処法について、現役の臨床心理士が解説していきたいと思います。
カウンセラーと合わないと感じることは「よくある」
カウンセリングが合わないと感じる原因について話をする前にそもそもカウンセラーと合わないと感じることはよくあることと思っていただいたほうが良いでしょう。
理由としては、相談者のほうから初回のカウンセリングですべて赤裸々に話せることってそうそう多くないからです。
ピンとこない場合は、友人関係や恋人関係を想像してみるとよいでしょう。
今あなたの近くにいる身近な友人や恋人も最初の初対面でめちゃめちゃ話すことってできましたか?
もちろん、初対面でとても馬が合うみたいなことはあるにはあるでしょうがほとんどないですよね。
たいがいが時間をじっくりかけて関係性を築き上げてきたのかなと思います。
というように、初対面からカウンセラーに話せることってすごく少ないと思ったほうが良くて
「なんとなく話しても大丈夫かな」と思えるくらいがちょうどよいと思います。
そこから何セッションも繰り返すことによって徐々に信頼関係(ラポールといいます)が形成されていき、それがカウンセリングの治療の場で活きていくのです。
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カウンセリングが合わないと感じる原因
それでも「やっぱりカウンセラーと合わない気がする」と感じる場合はどのような原因があるのでしょうか。
大きくは「カウンセラー側の原因」と「相談者側の原因」のふたつがあるでしょう。
カウンセラーの原因
例えば、話の途中で「カウンセラー側が居眠りをしている」とか
「メモに集中して話を聞いてくれていない」とか
「相談者の考えを押し付けたり否定したりする」とか
そのようなカウンセラーであればそれは、相性以前の問題です。
カウンセラーとしての資質やそれ以前に人間としての資質に問題があると考えたほうがよいでしょう。
カウンセラーの基本姿勢は「受容」と「共感」的態度です。つまり相談者の話した内容について、否定せず受け止めつつ、中立的に聞いていくという少し難しい態度なのですが、臨床心理士であるカウンセラーはそのように対応しているのです。
ですから、相談者の意見に対して、例えば「それはあなたが悪い、改心しなさい」とか「こんな風に考えなさい」みたいなことはまかり間違っても言わないわけです。
カウンセラーは基本的にアドバイスをクライアントにはしないんですね。もちろん内容によってはアドバイスをする場合もあるんですけれど、しないことのほうが殆どと思っていただいた方が良いでしょう。
カウンセラーの「受容」と「共感」的態度には「アドバイス」は含まれてないんですね。
そして何よりアドバイスをしたところで、無意味なんです。カウンセリングに来室される方というのは、悩みに悩んで周りの人に相談してそれでもどうにもならなかったから来室しているんですね。
周りの友達や家族や恋人にとっくにアドバイスはもらっているはずです。
けれどもしっくりこなかったのです。だからこそ、カウンセリングを受けに来室されているのです。そこにアドバイスをしたところで、結局は「それはわかります、でも~」と考えてしまうのです。
そもそも悩みの解決方法というのは、相談者自身の心の中にあるといわれたりします。
どういうことかというと、悩みの答えは相談者が知っているというわけです。
でも本人は心に余裕がなくて見失っている状態なんですね。だからカウンセラーが適切にサポートすることによって心に余裕ができて、結果的に自分自身の答えに気づいて解決していくというわけなんです。これがカウンセリングでは大切なんですね。
そのうえで、そうではないカウンセラーが対応していたとしたならばそれはカウンセラー側に問題があると思いますのでその場合は、何回も受けずして、すぐに別のカウンセラーに代えてもらうか、代わりのカウンセラーがいない場合は別のカウンセリングルームを探すことが良いでしょう。
自分の原因
自分の原因というのはどういうことかといいますと、カウンセリングって自分自身と向き合うことなんですが、時にしんどくなることが多々あるんですね。
どうしても自分と向き合うのは心理的なエネルギーを使うわけです。自分の良い面も悪い面もみないといけません。
日常生活の中では、無視できるようなことをカウンセリングでは扱うわけです。
自分の悪い面を見て受け入れていく作業がカウンセリングの一部だったりしますから、これって苦しいんですよね。
実際、カウンセリングを数回受けてドロップアウトしてしまう方ってのは少なくありません。
1回だけ受けて、2回目に「話してみてしんどくなったから続けたくない」とおっしゃる方もいますし、何も言わずにフェードアウトすることもあります。
このように自分自身と向き合うことがしんどいと感じると、カウンセリング合わないとかカウンセラーとうまく話せてない気がするような感覚に陥る場合があります。
またほかの理由としては、カウンセラーとの転移感情によって生じている場合があります。
転移感情というのは、カウンセラーから相談者に対しての個人的な良い感情もネガティヴな感情も含めた「感情」のことだったり、相談者からカウンセラーに向けた個人的な良い感情もネガティヴな感情のことです。
例えば、相談者の問題としては、小さい頃の親子関係で母親との関係が影響していて自分自身悩みがあった場合ですと
カウンセラーが自分の母親くらいの年齢の女性であれば容易に転移感情が沸き上がりやすいわけですね。
つまり自分の母親とカウンセラーを重ね合わせてしまうということです。
このような感情になると、カウンセラーに「なかなか言いたいことが話せない」とかそのようになるのも無理はないでしょう。
もしそうであれば、実は1回目から治療としてのカウンセリングとしては、非常に意味があるものだったりするので、数回は続けてみることをお勧めします。
それでもどうしても難しいようであればカウンセラーを変えてもよいかもしれません。
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カウンセラーと合わないと感じた時の対処法
ではカウンセラーと合わないと感じた場合はどうすればよいでしょうか。
結論から言うと、まずはそのカウンセラーに話をすることが大事になります。
カウンセリングの中でカウンセラーに話してみる
なぜカウンセラーに話をしたほうが良いのでしょうか。
理由としては、相談者が抱えているなんとなく話しにくいなぁというモヤモヤと向き合うためです。
自分が思っていることや感じていることをカウンセリングの場でカウンセラーに伝えることは自分自身の気持ちと向き合っているという証拠なのです。
逆に、カウンセラーにモヤモヤを抱えているんだけれども、伝えずそのままドロップアウトするのは、自分自身の感情と向き合えてない証とも言えます。
ですから、本来はカウンセリングの場でカウンセラーに話をすることに意味があります。
話しにくいと感じるのは無理もありませんが、カウンセラーは受容と共感的態度で相談者に接しますので否定されることはありません。ですからぜひ勇気をもって話をしてみてください。
他のカウンセラーにしたいと伝える
それでも「どうしても話しにくい」と感じる場合があると思います。
その場合は、理由は言わずに他のカウンセラーにしたい旨を伝えてください。
もしそのカウンセリングルームのカウンセラーがひとりしかいない場合は別のカウンセリングルームを探しても良いでしょう。
もし受けているところのカウンセリングルームにカウンセラーがひとりしかいない場合はカウンセラーにカウンセリング継続をやめたいことをお伝えするとよいと思います。
もちろん言いにくいことだとは思いますが、まずはしっかりと話をすることによって、気持ちを新たに、他のカウンセリングルームを選んだりすることもできるかもしれません。

カウンセリングを受けてみませんか?
カウンセリングを受けたいとお考えの方や一度体験してみたい方は、是非一度カウンセリングを受けてみてはいかがでしょうか。
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この記事の監修者

横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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