パニック障害の症状は、軽いものから重いものまでさまざまです。軽い風邪は自然に治ることも少なくないですが、パニック障害の場合はどうでしょうか。
本記事では、パニック障害を治すためにできる日常生活でのきっかけづくりや、そもそもパニック障害は何もせずに治るのかなどについて、詳しく解説していきます。
パニック障害になりやすい方の特徴にも触れているので、パニック障害に悩む方は、ぜひ最後までご覧ください。
パニック障害の主な症状
まずは、パニック障害の主な症状から見ていきましょう。
ここでは、2つの観点から解説していきます。
パニック発作
パニック障害の主な症状のひとつである「パニック発作」は、予告なく現れる急速で強烈な不安状態です。
この発作には、以下のような身体的な症状が含まれます。
- 動悸
- 発汗
- 体の震え
- 息苦しさ
- 胸痛
- 吐き気
- めまい
また、以下のような精神的な症状が体験されることもあります。
- 現実感消失
- 頭がおかしくなる恐怖
- 死の恐怖
- 異常感覚
- 冷感
- 熱感
定義としては、これらの不安症状が急速に高まり、通常10分以内にピークに達することとされています。
パニック発作は予測不可能であり、突然現れることから、個人の生活や日常活動に深刻な影響を与える場合もあるでしょう。
適切な治療とサポートを受けることで、パニック障害をある程度制御し、生活の質を向上させることを目指しましょう。
慢性的な病気
パニック障害といえば先述のパニック発作がもっとも知られた症状ですが、慢性的な(長時間・長期間常に起こり続ける)症状も存在します。
ここでは、主要な3つの症状について解説していきます。
- 予期不安
予期不安は、パニック障害の主な症状であるパニック発作を何度か経験したのちに引き起こりうる症状です。
この症状は、いつパニック発作が起こるかわからないために再発を恐れる状態を指します。
この状態に陥ったパニック障害患者は日常生活や社会的活動を制限し、安心できる場所・人から離れることが困難になるでしょう。さらに、この予期不安は継続的に存在し、パニック発作を避けようとする行動(回避行動)や、過度な警戒心を引き起こすことにもなります。
- 広場恐怖
広場恐怖は、人ごみや電車・バスのなか、または1人で外出しているときなどのように、逃げられないような状況にいるとき、パニック発作のような症状が起きてしまうことを恐れる症状です。
この広場恐怖では、不安の感じ方は個人によって異なりますが、たとえば混雑している場所や密閉された空間にいること、身動きが取れない状況に置かれることで強い不安や恐怖を感じる傾向があります。
この広場恐怖が起こると、不安な状況を回避するために、遠出や通勤を避ける、必要な場合でも誰かと一緒にいることを求めるなどの回避行動を取ることがあります。恐怖心から来る回避行動には、社会的な制約や日常生活への制限をもたらすこともあるでしょう。
- 抑うつ症状
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パニック障害では、二次障害的に「抑うつ症状」が起こることもあります。これが進行すると、二次障害としての「うつ病」にもなりえます。
この症状は、悲しみや絶望感、無気力、活力や興味の喪失、睡眠や食欲の変化、集中力の低下、自己評価の低下などが特徴です。うつ症状は日常生活に大きな影響を及ぼし、社会的な機能の低下や身体的な不快感、自殺念慮などを引き起こす可能性もあります。
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パニック障害は何もせずに治る?
次に、パニック障害は何もせずに治るのかについてですが、結論をいえば「治る可能性もあるが、悪化する可能性を考えると専門のカウンセリングにかかるのが最善」です。
ここからは、パニック障害の治療方法を紹介していくので、カウンセリングが不安な方はぜひ確認してみてください。
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薬物療法
パニック障害への薬物療法は、抗うつ薬と抗不安薬を組み合わせて行われます。
抗うつ薬としては、SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)が有効ですが、抗不安薬は依存性の問題があるため、発作時の頓服のみとして、定期的な服用はすすめられません。
また、抗うつ薬は、すぐに効果が現れるわけではありません。1週間から10日、あるいは2週間程度の継続的な服用が必要です。副作用が出ない限り、定められた量を毎日一定の時間に飲むようにしましょう。効果が出ないと感じても、すぐに中止しないでください。効果を実感するまでには時間がかかることがあります。
一方、抗不安薬は比較的早く効果が現れます。服用してから20〜30分で効果が現れることがあります。そのため、パニック発作が実際に起こってしまったり、起こりそうなときには、抗不安薬が有効です。
薬物療法は、パニック障害の症状を軽減するために有効な治療法ですが、医師の指示に従い、定められた量と方法で使用することが重要です。
精神療法
パニック障害への精神療法は主に2つです。
- 行動療法
行動療法は、不安や恐怖にとらわれることを軽減するための治療法です。
具体的には、その人が特定の状況に対して不適切な反応を示していたり、まだ適切な反応を身につけていなかったりする行動上の課題に焦点を当てます。そして、治療目標を設定し、さまざまな技法を用いて適切な反応を身につけていく方法です。
- 認知療法
認知療法は、パニック障害患者に多く見られる不安や恐怖を感じやすい思考の癖やパターンを修正することで症状の改善を図る方法です。
具体的には、カウンセリングとしての対話を通したり、ときにはロールプレイのようにあるシチュエーションでの言動を確認したりして、その人の受け止め方や考え方が本当に正しいのかを考えます。そして、異なる受け止め方や考え方を模索しつつ、認知に働きかけていくわけです。
このようなアプローチにより、パニック障害の症状の軽減が期待されています。
パニック障害を治すためにできる日常生活でのきっかけづくり
ここからは、パニック障害を治すためにできる日常生活でのきっかけづくりを3つ紹介していきます。
ストレスを溜めない生活を心掛ける
パニック障害を治すためには、前提としてストレスを溜めない生活を心掛けることが重要です。
日常生活でストレスが蓄積すると、パニック発作を引き起こす可能性が高まります。ストレスを溜めないためには、適切な休息をとること、適度な運動を行うこと、自分の感情を表現する場を持つことなどが有効です。
定期的なリラックス法やストレス管理の方法を身につけておきましょう。カウンセリングを通して学んでいくのもひとつの手です。
規則正しい生活を送る
パニック障害を治すためには、規則正しい生活を送ることも重要です。
日常生活において規則正しい生活リズムを保つことで、身体や心のバランスを整えられます。正しい睡眠習慣や食生活を意識し、適度な運動やリラクゼーション法を取り入れることで、ストレスを軽減しパニック発作のリスクを低くすることも期待できるでしょう。
日常の予定を立て、自己ケアを優先させることで、安定した生活リズムを築くことが大切です。
カフェインやアルコールは避ける
パニック障害を治すために日常生活で気をつけるべき最後の要素が、カフェインやアルコールの摂取を避けることです。
カフェインは中枢神経を刺激し、不安や興奮感を引き起こすことがあります。アルコールは抑制効果があるように感じられますが、摂取することでパニック発作のトリガーになることがあります。
カフェインとアルコールを控えることで、身体的な緊張や不安感を軽減できるわけです。
代わりに、ノンカフェインのカモミールティーやハーブティーなどリラックス効果がある飲み物を選ぶと良いでしょう。
パニック障害になりやすい方の特徴
パニック障害になりやすい方にはいくつかの特徴があります。
まず、そもそもパニック障害の原因には遺伝的な要素が関与しているという見解があります。そのため、家族歴にパニック障害を持つ人がいる場合、遺伝的な傾向があると考えられます。
また、過度なストレスやトラウマ経験もパニック障害の発症リスクを高めます。過去に恐怖や恐怖心を引き起こす出来事に直面したり、長期間にわたる高いストレスがかかっていたりすると、パニック障害を患う可能性があります。
これらの特徴を理解し、早期のサポートや治療を受けることが重要です。
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パニック障害が治るきっかけには適切なカウンセリングが一番
今回は、パニック障害が治るきっかけについて解説してきました。
パニック障害を治すための最善のきっかけは、適切なカウンセリングを受けることです。
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認知行動療法や曝露療法などの技法を用いて、パニック障害の原因やトリガーを明確化し、対処策を身につけられます。また、カウンセリングは治療だけでなく、単純に感情を解放し、問題解決に向けた前向きな変化を促す重要な役割も果たします。
カウンセリングを通して、パニック障害の症状を軽減し、健康的な生活を取り戻しましょう。
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この記事の監修者
横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
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