多汗や目眩から始まり、重ければ抑うつ症状も見られるパニック障害。不安でカウンセリングに踏み切れないという方もなかにはいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、パニック障害におけるカウンセリングの効果について、パニック障害とは何か、パニック障害の特徴と主な症状を交えて、詳しく解説していきます。
パニック障害の対処法と治療法にも触れているので、パニック障害に悩む方はぜひ最後までご覧ください。
パニック障害とは
パニック障害は、急性の不安や恐怖が突然発生し、パニック発作と呼ばれる症状が現れる心理的な疾患です。
パニック発作は、強い不安や恐怖感、心拍数の増加、呼吸困難、めまい、手足のしびれ、胸の痛みなどの身体的症状を伴います。
また、パニック発作は予告なく起こるため、日常生活や社会的活動に大きな制約を与えることも少なくありません。
これら症状の詳細については後述します。
原因は明確にはわかっていませんが、遺伝的な要素や脳内の化学物質の不均衡が関与しているとの見解が強く、今後の研究が望まれている段階です。
パニック障害の治療では、心理療法や薬物療法が一般的に使用されるほか、ライフスタイルの改善やストレス管理の方法を取り入れることも重要とされています。
パニック障害の特徴と主な症状
パニック障害の概要がわかったところで、次はパニック障害の特徴と主な症状を詳しく見ていきましょう。
パニック障害の症状の顕現具合は個人差がありますが、ここでは網羅的に4つの症状について触れていきます。
パニック発作
パニック障害の主要な症状のひとつである「パニック発作」は、予告なく現れる急速で強烈な不安状態です。
この発作では、以下のような身体的な症状が現れます。
- 動悸
- 発汗
- 体の震え
- 息苦しさ
- 胸痛
- 吐き気
- めまい
また、以下のような精神的な症状が体験されることもあります。
- 現実感消失
- 頭がおかしくなる恐怖
- 死の恐怖
- 異常感覚
- 冷感
- 熱感
特徴的な点は、これらの不安症状が急速に高まり、通常10分以内にピークに達することです。
パニック発作は予測不可能であり、突然現れることから、個人の生活や日常活動に深刻な影響を与える場合もあります。適切な治療とサポートを受けることで、パニック障害をある程度制御し、生活の質を向上させることが可能です。
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予期不安
パニック障害の主要な症状である「パニック発作」は、何度か経験したのち「予期不安」を引き起こします。
この症状は、いつパニック発作が起こるかわからないため、再発を恐れる状態を指します。
この状態に陥ったパニック障害患者は日常生活や社会的活動を制限し、安心できる場所・人から離れることが困難になるでしょう。さらに、この予期不安は継続的に存在し、パニック発作を避けようとする行動(回避行動)や、過度な警戒心を引き起こすことにもなります。
予期不安は個人によって異なりますが、不安状態が強まることでパニック発作の再発を恐れ、日常生活に大きな制約をもたらすことがあるため、早期治療が必要です。
広場恐怖
「広場恐怖」も、パニック障害の主な症状のひとつです。
これは、人ごみや電車・バスのなか、または1人で外出しているときなどのように、逃げられないような状況にいるとき、パニック発作のような症状が起きてしまうことを恐れる症状です。
この広場恐怖では、不安の感じ方は個人によって異なりますが、たとえば混雑している場所や密閉された空間にいること、身動きが取れない状況に置かれることで強い不安や恐怖を感じる傾向があります。
この広場恐怖が起こると、不安な状況を回避するためにさまざまな方法を取ります。たとえば、遠出や通勤を避ける、必要な場合でも誰かと一緒にいることを求めるなどです。恐怖心から来る回避行動は、社会的な制約や日常生活への制限をもたらすことがあります。
また、広場恐怖は身体的な症状としても現れます。パニック発作や不安感が襲ってくると、心拍数の増加、呼吸困難、めまい、手や体の震えなどの身体的な反応が起こることがあるでしょう。これらの症状は、さらに不安や恐怖を増幅させ、状況からの逃走をさらに求めることにつながる場合があります。
うつ症状
パニック障害では、二次障害的に「うつ症状」が起こることもあります。これが進行すると、二次障害としての「うつ病」にもなりえます。
この症状は、悲しみや絶望感、無気力、活力や興味の喪失、睡眠や食欲の変化、集中力の低下、自己評価の低下などが特徴です。うつ症状は日常生活に大きな影響を及ぼし、社会的な機能の低下や身体的な不快感、自殺念慮などを引き起こす可能性もあります。
ただし、うつ症状はほかの疾患やストレス反応とも関連していることがあり、専門の医師による診断が重要です。治療の選択肢には、心理療法や薬物療法がありますが、個々の状況に応じた適切な治療方法を選定する必要があります。
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パニック障害におけるカウンセリングの効果
ここからは、パニック障害におけるカウンセリングの効果について解説していきます。
一般的には、「自律訓練法」か「認知行動療法」が用いられます。
自立訓練法
最初に紹介するのが、自律訓練法です。
この方法では、リラックスした体勢や環境を整え、特定の言葉やフレーズを使って自己暗示を行います。
この方法は、ドイツの精神医学者であるJ・H・シュルツによって開発されました。
リラックスしてボーッとしている状態や、うとうとしている状態に近い心身の状態を作り出すことが目標です。この状態では、心身の緊張が緩み、気持ちを落ち着かせられます。
自律訓練法は、パニック障害のみならず、不安感を軽減したり心身のバランスを取り戻したりする手段としても有効です。
認知行動療法
次に紹介するのが、認知行動療法です。
この療法では、まず心理教育を通じてパニック障害とその症状について理解を深めます。次に、パニック症状を観察し、日々の記録を行っていくのが一般的です。その後、呼吸法や自律訓練法などのリラクゼーション法を訓練します。これにより、症状発現時の身体的感覚を適切に解釈するスキルを身につけ、認知の再構築を行います。
また、恐怖や不安を引き起こす状況に積極的に曝されることで、その恐怖感や不安感を軽減することも目指します(曝露療法)。
こうしたアプローチによって、パニック障害の症状を緩和し、日常生活での制約を減らすことが期待されます。
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パニック障害の対処法と治療法
パニック障害の対処法としては、まずは自律訓練法を用いたリラックス方法が効果的です。さらに、認知行動療法によって恐怖感を緩和し、身体的感覚の誤った解釈を改善することも望ましいでしょう。
必要に応じて、医師の指導の下で抗不安薬や抗うつ薬の使用も考慮されます。
継続的な治療やサポートを受けることで、パニック障害の症状を軽減することが期待されます。
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パニック障害にもカウンセリングは効果あり
今回は、パニック障害患者へのカウンセリングの効果について解説してきました。
パニック障害においては、カウンセリングも効果的な治療法のひとつです。
カウンセリングでは、個人の経験や心理的な問題に焦点を当て、その背後にある原因やトリガーを明確化することが目指されます。
カウンセラーとのセッションを通じて、パニック症状に関連する感情や思考パターンを探求し、適切な対処方法を学びましょう。
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この記事の監修者
横浜国立大学大学院臨床心理学専修卒業。卒業後、東京都市教育センターで発達に関する相談業務に従事。その後、神奈川県内の心療内科クリニックで心理士業務、東京都内心療内科・心理カウンセリングルームの心理士勤務を経て、2020年6月、渋谷・心理カウンセリングルーム「Heart Life~こころの悩み相談所~」を開業。2024年3月に「Heart Life~こころの悩み相談所~新宿店」を開業。
<公式SNS>YouTubeアカウント:「心理カウンセラー【臨床心理士】がうつ病について語るCh」
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